2015年9月5日土曜日

Poly Phase Filter の利得と位相特性のspice解析

Noboru, Ji1NZL

90度位相シフト器として良く知られているPoly Phase Filter の利得特性と位相特性をspiceで解析しました。

(1) 解析した回路とspice出力結果


(i) 利得特性
  このPoly Phase Filrer は、位相シフトが90度となる周波数領域が、300[Hz]-3[kHz]に設計されています。
  この帯域内では、利得が一定になることが望まれます。すなわち低い声から大きな声まで、小さな声は小さく、大きな声は大きく聞こえる、ということが、人間の可聴周波数領域で実現できる必要があります。

spice解析の結果、300[Hz]-3[kHz]帯域内で0〜 -7[dB]の利得差が現れました。その特徴は、低い声が大きく聞こえ、高くなるほど声が小さくなるという、実用上問題となる利得特性を持っている課題が判明しました。

(ii) 位相特性
  設計帯域内300[Hz]-3[kHz]では、90度差の位相特性が得られています。これは低い音声20[Hz]〜300[Hz]が自然な音声として聞こえず、おかしな音調になると考えられます。

 SSB変調方式では、低い音が綺麗に聞こえず心地よくないという人間の耳の特性があるようで、できるだけ高めの音が明瞭な音、きれいな音として好まれているようです。このため、低めの音声が耳障りで気になる課題となることが予想されます。

  
(2) 先のspice解析のグラフから、位相差を読み取り、表にしました。
  -90度と+270度は、複素数平面で同じ角度です。

 低い音声20[Hz]〜300[Hz]の利得が最大で、かつ位相差が90度にならないのが、おかしな音調が強く聞こえる特性で、(場合によってはやっかいな)課題となります。
  
表. Poly Phase Filter の周波数:位相ずれの特性計算値(LTspice使用)
(3)フィルタ帯域内の利得差を軽減する解決法

RC Poly phase filter の前段と後段に、OPアンプによるバッファ・アンプを設けると、フィルタ帯域内の利得差を軽減できる手段が知られています。


0 件のコメント:

コメントを投稿

現在コメント機能に不具合が出ています。お手数ですみません。
メッセージは、メールでお送り願います。