2016年1月23日土曜日

仮想3次元移動音源の制御 概念設計(1/ )

部屋にステレオを聞くために4個以上のスピーカを配置し、それぞれのスピーカから発する音の時間差(位相ずれ)を制御すると、仮想的に音源が3次元空間を移動しているように聞こえるシステムについて、その3D移動音源の制御方法概念を示す。



この図は、3個のスピーカと、移動する仮想音源の概念を示したもの。図から明らかに、3個のスピーカでは、音源の時間差を制御しても2次元の音源移動しか再現できない。




これに対し、上図の様に三角の4面体の頂点の4点にそれぞれスピーカを配置して、その時間差(位相差)を正確に制御すると、例えば、同図上の上空を周回して移動する音源に聞こえるよう、左右の耳(E1,E2)に立体感のある3D音源を実現できる。

具体的には、
(1)列車が左右に移動する。
(2)飛行機やヘリコプタが頭上を周回する。
(3)野球でキャッチャーが、ピッチャーの投げる豪速球のシューッと近づくボールの音を聞く。
(4) (1)〜(3)等、任意の複数の移動音源が同時に移動し、それぞれが独立して立体的に聞こえる音を再現する。


関連記事:

スピーカ設計や使い方の難しさ




2016年1月9日土曜日

Vビームアンテナの利得上昇と指向性の迷信


Vビームアンテナは、1970年代終わりごろのアンテナ書籍に発表されていました。
その指向性は、Vビーム形状の小さい角度の方向に強いビームパターンが現れ、水平ダイポールアンテナよりも利得が向上すると書かれています。(下の引用文献参照)

近年に開発されたアンテナ解析理論”モーメント法”を使用したMMANAシミュレータ(Copyright by Mr. Mori, JE3HHT)を使用すると、従来のVビームは水平ダイポールと同様の水平輻射パターン特性を持ち、V形状にすることによる利得の向上はないことが分かりました。

対象の書籍は改訂されていないので、現在でも迷信伝説が続いていると思われます。
以下、MMANAシミュレータを使用した14MHz(20mバンド)用通称Vビームアンテナの解析結果です。





このように、Vビームの前方、後方の放射パターンは完全に対称で、Vビーム形状が利得を向上させることはできないという従来の定説と異なる解析結果となりました。







ここでのシミュレーション解析の結果が正しいかどうかは、実験による検証が必要です。
シミュレーション結果と、実験による測定値が一致するか否かで、理論とシミュレーション解析結果が正しいか否かが判明します。
現時点で、ここでの解析結果は、モーメント法理論に基づく結果予測の段階にあります。

実験では、SWR測定と、電界強度のパターン等を、実測する必要があります。


参考資料:

MMANA Antenna design data files

http://ji1nzl-official.blogspot.jp/2015/10/mmana-antenna-design-data-files.html


VCH アンテナ 7MHz用の設計

http://ji1nzl-official.blogspot.jp/2015/10/vch-mh.html

Vビームアンテナの資料
(電波新聞社様 1978年アンテナハンドブック(既に廃刊)から引用)

2016/7/8 Vビームアンテナ文献の引用記事追加

2016年1月1日金曜日

包絡線検波器(ダイオード検波器)理論解析の課題とレビュー

包絡線検波器(ダイオード検波器)理論解析の課題(検討中)





ダイオードの電流式が、直流でmAレベルの大きさの電流を流す場合になっている。


課題:
(1)周波数のパラメータが無く、交流電流、特に高周波電流の計算には基本的には使えない。交流でも適用できるよう、周波数の関数で電流式を拡張して考える必要あり。


(2)この式[式(1)]で求まる電流値の直流微小電流での電流値はmAオーダであるが、検波回路負荷に流れる電流は3桁低いマイクロアンペアオーダで電流計算値に3桁もの誤差を生じる。

(RF World誌から引用+説明追加)



(3)ダイオードの乗算効果作用があり、周波数が変化した場合のデバイス特性が検討されていない。


(4)計算式でVrfの交流電圧源は、AM変調信号のキャリア成分のみで正弦波になっている。これは変調波成分(USB,LSB)の電圧成分を含んでいないので、この式[式(1)]から復調信号を導くことは、不可能になっている。


補足説明:
RC並列回路のCにキャリアが検波され電荷が充電され、一定の直流電圧が生じる。すると、ダイオード入力は、その電圧分だけ、底上げされたAC成分を含む変動する正電圧を入力できるようになる。
したがって従来の考え方で電波電圧の負電圧側がカットされてしまうとする考え方は基礎的な誤りを含んでいる。


diode modeling
Spiceの原理、解析上の注意点、応用設計の例 についての部屋です
http://ednjapan.com/edn/articles/1403/24/news010.html


信号源は、電圧源がキャリアを中心に複数あり、その周波数差分の電圧式が、USB側、LSB側に存在しているので、複数のAC電源で構成されている。



How a crystal radio works
Very nice video, but AM diode demodulation theory is OK ?


大変わかりやすい優れたビデオ作品で、従来のダイオードによる包絡線検波理論を上手に説明できている。
しかし、従来の包絡線検波理論そのもの(1925年)は本当に大丈夫なのだろうか?


回路内の電子の移動速度は電磁波の速度に比較し相対的に非常に遅いため、ビデオにあるようなラジオ高周波に追従した電子の移動は不可能と考えられる。電子は、言わばほぼ停止状態に近く、高周波電磁波による激しい高速の電圧振動を引き起こし、その電圧振動の電圧波が電磁波の速度で導体を移動していると考えられる。


この点は、従来の半導体や電子回路理論の誤りかもしれず、半導体理論の基礎部分が揺らぐ可能性もあり得る、と予想する。
ショックレーによる半導体内キャリア移動速度の偏微分方程式では、電磁波の速度で伝わる電圧波の電圧値は計算できないことが、回路動作を計算するための現在の課題となる、とも考えられる。


現在まで従来のダイオード等価モデル、トランジスタ等価モデルは、ショックレーのキャリア移動速度の偏微分方程式から、ダイオード電流の指数関数式が導かれて、それを基礎にして計算式モデルが作られている。本当にこの基礎部分は大丈夫なのだろうか?

以下は、TI社spice2のダイオードのAC小信号モデルである。


この式ならば、コンデンサが加わることで交流の周波数が高くなると、ダイオードが高周波電流を流しやすい性質が出てくることを説明できる。さらに、動作点は、下のグラフの原点0Vを離れた場所にあり、その周辺のテイラー展開で電流を計算している。
よって、AM変調電圧のマイナス側が全てカットされるという従来の包絡線検波理論を退けることができる。


このTI社出展のグラフの電流軸に着目すると、単位はナノアンペア[nA]で」、「RF World誌」のグラフと6桁も少ない。
実際のラジオ検波回路のダイオード負荷の負荷抵抗1[MΩ]では直流でuA(micro A)の電流になるので、その電流より更に3桁低い。
このグラフの縦軸の桁は、micro Aの誤りなのだろうか?


ダイオードなどの非線形負荷を節点法で解析する
(出展:EDN/Itmedia Inc.)
http://ednjapan.com/edn/articles/1307/03/news005.html

この資料によれば、ダイオードは、小信号、中心号、大信号の3領域に区分して計算している。従来のダイオード電流式 Id=Is*exp(K*v-1) [A] だけでダイオード電流を計算するという考え方を拡張している。
(従来の指数関数式によるダイオードの非線形特性には従っていないダイオードの動作範囲があること示している。)

2016/2/26:追記
わかりました。多分あってます。後で書きます。

2016/3/20:追記
時間がとれないので考え方のみ追記します。

・ダイオード検波回路では、ダイオードの指数関数特性に由来する周波数変換動作が起こり、AM変調波周波数成分(LSB,USB)とAM搬送波成分の周波数差分とする低周波変調信号が生成される。

・その計算は、AM変調電波電圧式をダイオードの指数関数に代入し、動作点近辺でのテイラー展開を使って出来る。

・すると、一次の周波数差分電圧が主なる低周波出力成分になる。

・テイラー展開で、二次以上の周波数成分は歪み成分になるが、指数関数の微分係数が乗算されるため、次数が大きいほど歪み成分は大きく減衰する。

・ダイオード動作点は、RC並列回路のコンデンサCに高周波成分がDC電圧に変換され、そのDC電圧が、ダイオードの動作点電圧を上昇させる。

・実際のAMダイオード検波回路は、20世紀初めに考えられたAM変調電波のダイオード検波理論では動作していない。

シリコンダイオードがAMラジオの検波回路に向かない原因は、従来は、DC特性にて0.6V程度にならないと電流が流れないと考えられてきたが、そうでは無く、ここでの検証によると、シリコンダイオードは低周波利得が大変低い交流特性を持つために、周波数変換された低周波信号電圧が出にくい物性があるためと考えられる。

それに対してショットキーダイオードは、高周波〜低周波でまで利得がほとんど下がらない特性があるために、低周波信号電圧が効率良く、出力されると考えられる。
(適切なダイオードモデルが無いので推定になるが、1N60等のゲルマニウム・ダイオードも低周波利得が下がらない特性があると考えられる。)


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