IQ直交変調器を用いたウェーバー法によるPSN方式 SSB変調器/送信機の原理
概要
従来方式の課題:
PSN方式によるSSB変調方式の課題として次のものがあった。
(1)ベースバンド低周波信号の-90度位相シフト器が、ベースバンド帯域内で利得が一定にならない。
例:
Poly Phase Filterと呼ばれるRC構成による 300Hz - 3KHz 周波数帯域に設計された位相シフト器は、帯域内で利得が変化し、特に低音領域の利得が高く、高い音域で利得が低下するため、太い声で耳障りとなり、高い音が弱くなり、聞き取りにくい音声になる。
(2)同Poly Phase Filterは、設計帯域を外れた周波数帯域 20Hz - 300Hz の低い音の位相ずれが-90度を維持できず、低音域がおかしな音になる。
こうした課題を解決する方式として、Poly Phase Filterを使用しないウェーバー法(Weaver Method)が知られていたが、その動作原理説明は、実回路開示や、難解なタイミング図と難しい長い文章による解説で、方式を正確に理解することが著しく困難だった。
(3)ウェーバ法による方式上の課題(問題点)が開示されていなかった。
(4)方式が不明または曖昧な理解であるため、SDRの設計ができない。
ここでは、以上の課題を反省し、これまでの課題を克服するため、計算式によりウェーバー法を導出して求め、やさしく、かつ正確に同方式を定義し、SDR設計に直接使用できる設計内容を明らかにする。
2. 構成
図1. による。
図1
3. 方式の計算式導出と説明
説明は次の文書による。
”The principle of SSB modulator / transmitter of “Weaver PSN method
by using “IQ feeder” and “IQ modulator” (Weaver’s PSN method)
http://ji1nzl-official.blogspot.jp/2016/07/the-principle-of-ssb-modulator.html
4. 課題
項番号 3.により、ウェーバー方式には設計上、次の課題の存在が明らかになった。
(1) 現在SDRに多用されているIQ直交変調器が、ウェーバー方式にもそのまま使用できる。
ウェーバー方式では、IQ変調器に、90度位相差があるSSBの2信号I,Q信号を与えるだけで、SSB(USB/LSB)の変調・復調器が実現できる。
(2) ウェーバ方式で利用されるLPF(Low Pass Filter)は、LSB,USBの不要成分を除去するため、良好なフィルタのキレ具合と、帯域内一定の群遅延特性を持つ必要がある。
これは、FIR,IIRフィルタの信号処理で実現できる。
(3) 上記LPFは、アナログ回路では、良好な特性を得る回路実現に難易度が伴う可能性がある。
(4) ウェーバー方式は、音声などのベースバンド信号を一旦、40KHz程度の中間周波数帯に引き上げるため、この局部は発振器周波数だけ、第二局発の発振周波数に対し、キャリア周波数がIF周波数分だけシフトする。
受信機側では、SSB復調時に、キャリアが無いため、そのシフト分は気づくことは無いが、送信機の周波数表示処理は、このシフト周波数をずらして表示する加算または減算処理が必要となる。
(5)上記LPFは、HPFで交代するように方式変更も可能である。ただし、キャリアシフト量は変化する。
付録:
A. SSB/CW SDRトランシーバの実現例
G11 Gunu Radio based SDR Transceiver
Designed by Goran in Eu. (Respective copyright reserved)
(C) Noboru, Ji1NZL, Jun.29, 2016
Rev.0.0 July 2, 2016 初版文書作成 Noboru Noboru .AE35.macbook
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