2020年9月11日金曜日

PIXIE 7MHz CW 簡易トランシーバの動作と課題をLTspiceで再現する

 汎用小型トランジスタ2N3904 (東芝 2SC1815とほぼ互換で、より高性能) 2石と、オーディオアンプIC LM386 1個だけで、100mWの7MHz トランシーバができる、と話題と人気をよんだ米国製PIXIEの送信動作と、実機動作で初めてわかったAM放送810KHzの混信(通り抜け)現象が、LTspiceでそっくりに計算で再現できることがわかりました。

      図1. AM放送810KHzの混信(通り抜け)現象の再現(過渡解析結果)

図1.は、PIXIE のアンテナ端子に、50Ωのダミーロードと、擬似的なAM放送局810KHz
のAM変調信号、AF変調信号1KHz , RFキャリア最大値100mVをサイン波による電圧源で構成し、混信する信号をPIXIE へ与えています。

ネットに報告されている米軍放送局 810KHz の1KHz変調波が良く聞こえる課題が、LTspiceでも再現しました。

      図2. AC解析によるPIXIEの受信感度の解析(出力電圧の線形値表示)

目的周波数の7MHzで感度が最大になる設計が望ましいのですが、回路指定条件では、
800KHz近傍で感度が非常に良くなり、7MHzは、ちょっと残念な感じの感度特性が求まりました。
このAM放送領域の感度を抑制する手段があると、より実用的になると思います。
既に改良例がネットにありました。


        図3. AC解析によるPIXIEの受信感度の解析(出力電圧の対数値表示)

PIXIEは、7MHz CW信号にゼロインすると、無音のゼロビートであるDC電圧が出力されます。
このため、このDC電圧で、別途用意する低周波発振器をアサートして、ピーという低周波音を
発生させるBFO動作をさせている応用例があります。

      図3. 送信動作の過渡解析結果

送信動作は、無調整発振回路の信号純度が良ければ、問題無く100mWの送信出力が得られました。
送受信動作は、リレーや、ダイオードRFスイッチが不要で、D1の 1N4148 でフルブレークイン動作が大変シンプルかつスマートに実現されています。

巻線コイルを作る必要が無く、市販の一般的な少数の部品だけで遊べることが魅力と思います。水晶も7.030MHzは、特注せずに、通販でも購入できます。

参考にした記事:
・ネット上のPIXIEに関する実験記事のいくつか。


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