ラベル #ギルバートセル乗算器 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル #ギルバートセル乗算器 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017年1月31日火曜日

ギルバートセル乗算器によるラジオ受信機用周波数混合器の設計 基礎性能実験

 ギルバートセル乗算器によるラジオ受信機用周波数混合器の過渡解析+高帯域FFT解析(図1.)のように、ラジオ受信機の周波数混合器に同乗算器を使うと、フィルタ無しでもスプリアスの大変すくない良好な周波数変換ができる。

図1. ギルバートセル乗算器によるラジオ受信機用周波数混合器の過渡解析+高帯域FFT解析

図2. 変換されたIF周波数帯域455KHz近傍のスプクトラム解析したFFT結果から、AM変調波が大変きれいに歪みなく周波数変換されていることがわかる。

図2. ギルバートセル乗算器によるラジオ受信機用周波数混合器の過渡解析
+IF 455KHz近辺FFT解析

しかしながら重大な課題もあることが判明した。
この回路には、入力RF信号のダイナミックレンジが狭くなる特性がある。
本回路では電源電圧6Vと大きく振幅のスイングがとれるように考慮したが、それでもOSC 1.0Vピーク電圧を与えると、出力される波形には、細かいスプリアス信号が現れる。

このままの回路でラジオや通信機に使うのは難しいかもしれない。
Power トランジスタで直線性の良いものがあれば良いが、現在のところそのようなトランジスタがあるかどうかは不明。
市販のアナログ乗算器ICはほぼ生産中止で、かつ扱える周波数が低く、ラジオのような高周波用途のものは現在でも無いと思う。

別の記事にも書いたように、OPアンプは理想的な直線性をもつが、差動型電圧リニアアンプなので、原理的にアナログ乗算器は実現できない。必然的にOPアンプではAM変調回路も実現できない。

通信機では4本並列させたFETによる周波数混合器を用い、ダイナミックレンジを広くとる設計が見られる。

僕が別記事に示したオリジナル設計のアナログ・スイッチを使ったDBMや、ダイオード式リングDBMミキサーは、ダイナミックレンジが広く、RF段、OSC回路、IF回路の各回路間の結合を疎にして、回路全体が安定して動作させやすいという大きなメリットがあるのもわかった。

ブログ記事目次へ戻る







2017年1月28日土曜日

ギルバートセル乗算器を使ったAM変調/DSB変調器の設計

前回構成したギルバートセル乗算器を使ったAM変調/DSB変調器は、BJTトランジスタへのバイアス電圧を定電圧源で設定していた。
これらを、電源電圧Vcc=6Vから抵抗分割で、同じバイアス電圧を設定した。

図1.1に示すように、問題なくAM変調ができている。

図1.1 抵抗によるバイアス電圧設定をしたAM変調器 (ギルバートセル乗算器使用)


次に、図1.1 の回路中の定電流源を、BJTトランジスタで構成するワイドラー定電流源で置き換えた。
問題無くAM変調ができている。(図2.1)
フィルターを使わなくても、大変スプリアスの少ない電波の質の良い綺麗な変調波が得られている。(FFT参照)

図2.1 ワイドラー定電流源に置き換えたAM変調器 (ギルバートセル乗算器使用)



図2.1と同じ回路で、ベースバンド信号に加算した底上げDC電圧を0Vにした。
変調波はキャリアが綺麗にキャンセルされたDSB変調波を得た。(図3.1)

図3.1 ワイドラー定電流源に置き換えたDSB変調器 (ギルバートセル乗算器使用)

図3.1 のFFTの周波数軸を拡大した。
キャリアが綺麗にキャンセルされたUSB,LSB成分の変調波が見える。(図3.2)

図3.2 ワイドラー定電流源に置き換えたDSB変調器(ギルバートセル乗算器使用)FFT周波数軸拡大

出力には、よりスプリアスを減少させるためBPF(バンドパスフィルタ)を通過させた後に、リニア電圧アンプで電圧増幅を行うのが良いと思う。
差動型出力なので、OPアンプでの増幅がより向いていると思う。

従来のアナログ式AM/DSB変調器にはダイオード4本で構成する平衡変調器(リング変調器)が多用されたが、こちらの方式のほうは、遥かに発生するスプリアスが少ない。

従来式リング変調器は、スプリアス減衰効果の優れたバンドパスフィルタ(水晶フィルタが多い)が必須だったが、この方式では、BPFがいらないくらい電波の質が良い特性が見られる。

ブログ記事目次へ戻る