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2017年1月3日火曜日

AM/DSB変調器(ギルバートセル乗算器(6TR構成)使用)

6石のBJT TR 2N3904を使ったギルバートセル乗算器[1]を使ったAM変調またはDSB変調器として動作できるAM/DSB変調器をLTspiceで構成し、PC上で設計段階での動作確認を行った。
問題なく変調が動作する設計事例[2]と、再現しない事例[3]を示す。

図1. AM変調とDSB変調のパラメトリック過渡解析 期待動作OK

図1. :
ベースバンド信号[1kHz], 尖頭電圧5[mV]のサイン波(正弦波)を使い、キャリア信号 RF 1[MHz],尖頭電圧5[mV]を入力。
ベースバンド信号電圧を底上げするDC電圧を0.0[mV]の時にDSB変調波が出力され、5[mV]の時に、変調指数1.0のAM変調波電圧が生成されることを確認した。
フィルタを使わなくても、スプリアス成分の大変少ない質の良い電波が生成された。


図1.1. AM変調とDSB変調のパラメトリック過渡解析 期待動作OK

図1. 1:
図1.1のFFT解析結果周波数軸を,キャリア周波数1[MHz]近傍で拡大した。
LSB波、USB波、キャリア信号が問題なく出力されている。

図2.1. AM変調の過渡解析 期待動作OK

図2.1. :
図1.1で、AM変調の場合についての結果を示した。
ベースバンド信号[1kHz], 尖頭電圧5[mV]のサイン波(正弦波)を使い、キャリア信号 RF 1[MHz],尖頭電圧5[mV]を入力。
問題無く、電波の質の良い、AM変調波出力が得られた。

図2.2. AM変調の過渡解析 期待動作OK

図2.2. :
図2.1のFFT解析結果周波数軸を,キャリア周波数1[MHz]近傍で拡大した。
LSB波、USB波、キャリア信号が問題なく出力されている。



図3.1. DSB変調の過渡解析 期待動作OK

図3.1. :
図1.1で、DSB変調の場合についての結果を示した。
ベースバンド信号[1kHz], 尖頭電圧5[mV]のサイン波(正弦波)を使い、キャリア信号 RF 1[MHz],尖頭電圧5[mV]を入力。
問題無く、電波の質の良い、DSB変調波出力が得られた。


図3.2. DSB変調の過渡解析 期待動作OK

図3.2. :
図3.1のFFT解析結果周波数軸を,キャリア周波数1[MHz]近傍で拡大した。
LSB波、USB波が問題なく出力されている。
微小なキャリア信号電圧が見られるが、実用上問題ない信号レベル。



課題:
(1)入力電圧のダイナミックレンジの確認
(2)AC特性・周波数特性の確認(利得と上限周波数、位相特性)
(3)BIAS電圧の設定と差動電圧出力取り出しの回路構成と動作確認


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以下は、AM/DSB変調が再現しない事例
いずれもほとんど変調がかかっていない。(いわゆる無変調)

原因:
オリジナルのギルバートセル乗算器は、入力ポート2個とも、±差動電圧を入力してアナログ乗算回路を構成するが、この回路図はおそらく記載ミスで、回路図が差動電圧を入力する構成になっていないことが判明した
また、ギルバートセルのオリジナルは、下にエミッタ電流を吸い込む定電流源があるが、これを抵抗ですませている課題がある。(これはワイドラー(Widler)定電流回路で実現可能。)

図4.1 「無変調」状態の動作例 動作NG

図4.2 「無変調」状態の動作例   動作NG

図4.2 に周波数軸を拡大し、1[MHz]近傍をみると、極めて弱い微小な変調信号が見えるが、ほとんど変調はかかっていない。

参考資料:
[1] [2] トランジスタ技術 2016 LTspice連載記事 「ギルバートセル乗算器」

[3] インターネット上の教育サイト;
     "Basics of the Gilbert Cell | Analog Multiplier | Mixer | Modulator"

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2015年9月21日月曜日

オペアンプ LT1359 の増幅性能テスト(高性能)

高精度オペアンプ LT1359 の増幅性能について、反転増幅回路、非反転増幅回路の性能をテストしました。

(1)非反転増幅回路の過渡解析


電圧利得10倍(20dB)に回路定数を設定し、2[MHz],10[mV]の微小なサイン波電圧を入力し、非反転増幅回路に入力すると、たいへんクリーンな出力サイン波90[mV]が得られました。
スプリアスが極めて少なく、このオペアンプの驚異的リニア増幅性能が得られています。これだけの美しい出力はトランジスタアンプでは到底無理ではないでしょうか。

利得は周波数2[MHz]あたりから減少が起こるので100[mV]に僅かに達しない90[mV]です。



(2)AC解析
利得は設計通りの20[dB]で2[MHz]あたりまでほぼ完璧に平坦な特性です。利得の減衰曲線、位相の変化曲線も非常に美しい特性で、大変優れた性能のオペアンプです。

(3) 反転増幅回路の過渡解析
 (1)と同じ入力条件で、反転増幅回路の電圧利得を10倍(20[dB])に設定し、過渡解析しました。


非反転増幅回路と同じように、大変優れた直線性を持ち、スプリアスの少なさは脅威的です。

(4)微小入力電圧の限界性能を見る

このように優れたこのオペアンプがどこまで小さな微小信号まで増幅できるか、限界の最小入力電圧を調べました。


1[uV],2[MHz] が限界の増幅可能な電圧値と出ました。大変な高感度、高品位アンプです。