(TRIO/Kenwood TS-700, copyright reserved by TRIO/Kenwood Co. Ltd.)
図3. FM変調の計算波形 (Copyright reserved by MIT OCW 6.003, USA)
図4. FM変調の計算波形(自作オリジナル)
図5. LTspice計算で再現した数値演算式FM変調波の過渡解析結果とFFT解析結果
水晶発振器は、周波数または位相変化がほとんど無い安定した周波数で発振する特性があります。
このため、水晶発振器を使ったベクトル合成位相変調方式では、必要な周波数偏移
(40KH WFM zまたは20KHz NFM)を得るため、12MHz 近辺の小さな位相変調量を12逓倍して144-145MHz帯の必要な周波数偏移/位相偏移量を得るFM変調波を得る方式が、チャネル切り替え式自動車無線器(モービル無線)では多用されていました。
無線従事者国家試験でも、かつては、そうした水晶発振式ベクトル合成位相変調回路と逓倍回路が、FM変調方式出題の定番でありました。
しかし、例外的存在として、当時の人気機種と思われるTS-700(TRIO/Kenwood社)では、VXO方式の水晶発振回路について、水晶に直列するコイルとバリキャップ(可変容量ダイオード)によるFM変調方式が採用されていました。
発振周波数が10.7MHzと、こうした低い周波数でのFM変調は困難と考えられていました。
周波数偏移は、WFM/40KHz, NFM/20KHz と十分な周波数偏移が得られています。
前段のAFアンプは、TA7061 IC アンプによる、実に60dBという大変大きな電圧利得のハイゲイン・アンプになっています。[1]
その後、PLL式FM変調が主流になり、近代では、2000年を過ぎるころからDSPやマイコンによる数値演算式FM変調回路が主流となっています。
そうした数値演算式FM変調・復調を実現、理解するために必要となる、FM変調に関する計算式を図2.にまとめました。[2][3]
図2. FM変調関連の計算式文献[2],[3]を参考にして、FM変調信号の電圧波形を時間の関数で書き、図2.にまとめました。
MIT OCW 6.003を受講し、図3.に、FM信号電圧波形のアニメ画像を作りました。
図4.は、Macbook Pro.(OSX Yosemite) で"Grapher"アプリを使い、図3.の計算を再現し、アニメ画像を作りました。
(自作オリジナル)
図5.は、LTspice IV (Macbook pro. OSX Yosemite)にて、図3., 図4.と同じ数値計算を行い、
かつFFT解析で、周波数成分のスペクトルを見ました。
入力する低周波の変調周波数1KHzの偶数倍(2,4,6 倍,...)の周波数成分が見えています。
これはcos(βsinωt)によるサイン波をcos関数に入れ子にした演算結果によるものです。
sin(βsinωt)によるサイン波をsin関数に入れ子にした演算では、入力する低周波の変調周波数1KHzの奇数倍(1,3,5 倍,...)の周波数成分が現れます。これは、図2.計算式に従う結果です。
参考文献/参考資料:
[1] TS-700回路図 TRIO/Kenwood社
[2]MIT OCW 6.003 "Modulation2" , Apple iTunes, Youtube
[3]アナログ回路 電子書籍教科書 新原盛太郎さん
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