ラベル #位相シフト回路 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル #位相シフト回路 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年11月15日日曜日

アナログPSN方式SSB変調回路用 Poly Phase Filter ( 90 deg. Shifter) 利得・周波数特性の補正実験

アナログPSN方式SSB変調回路用 Poly Phase Filter ( 90 deg. Shifter) 
利得・周波数特性の補正実験

(1) 300〜3KHz Poly Phase Filter の利得、位相特性 ・・利得・周波数特性の補正前

300〜3KHz Poly Phase Filter の利得が、周波数が高いほど利得が減衰し、約900Hzで
ー7[dB]と大きめの利得減衰が見られます。
(声が高くなると音が小さくなり、低音が強く出やすい。)

(2)300〜3KHz Poly Phase Filter の過渡解析特性 ・・・利得・周波数特性の補正前



振幅電圧が4相出力とも一定になるように、オペアンプ741のオフセット調整を行いました。


(3) 300〜3KHz Poly Phase Filter の利得、位相特性 ・・・利得・周波数特性の補正後
300〜3KHzで、利得が一定になることを目指し、前段OPアンプ741にHPF(High Pass Filter)を構成しました。利得特性はかなり改善されました。


(4)300〜3KHz Poly Phase Filter の過渡解析特性 ・・・利得・周波数特性の補正後

HPF効果で利得特性は改善されましたが、4相出力電圧の振幅がばらつく性能劣化が見られます。実際に音を聞かないとこの特性が実用レベルかどうかはわかりませんが、性能は劣化しました。

ここで出力電圧の振幅がばらつく原因は、2個のOPアンプ(LM741)がオフセット電圧に非常に敏感で、初段のHPF動作特性を変えただけでも、振幅電圧の中心電圧が大きくシフトしてDC増幅されるのためであることが判明しました。

対策は、OPアンプ2個のオフセット電圧を調整しなおすだけで対応可能なことが判明しました。


(6)300〜3KHz Poly Phase Filter の利得、位相特性 ・・・利得・周波数特性の補正(2回目)
 (3)のHPFの特性を遮断周波数20[Hz]から、300[Hz]に変更し、90度位相シフトの領域外の300[Hz]以下の周波数成分を減衰させ、音質改善を試みました。

300[Hz]以下の信号を弱くすることで、位相がずれた変な低音を弱くするようにしました。


(7)300〜3KHz Poly Phase Filter の過渡解析特性 ・・・利得・周波数特性の補正(2回目)


 (6)でHPFの遮断周波数を300[Hz]に変更する副作用として、OPアンプ2個のオフセット電圧がずれ、そのオフセットDC電圧が増幅されて、出力電圧がシフトされるため、同オフセット電圧を再調整し、この問題を解決しました。


(8)300〜3KHz Poly Phase Filter の課題

PSN方式SSB変調回路に使うには、設計帯域外の20Hz〜300Hzで正確な90度位相シフトが得られない本質的課題を解決するのが困難です。[※1]

この位相制御には、デジタルDSP信号処理がより実用的と思われます。


参考文献

[1] ポリフェーズPSN(PPPSN)の基本回路と私が製作した12ポールPPPSN
http://jh1dtx.o.oo7.jp/PPPSN.htm
  RC定数の変更で、PPFの大きな特性改善がされた模様です。

Return to INDEX

2015年8月25日火曜日

単電源動作対応 オペアンプによる位相シフト回路の設計 /単電源動作の課題提示

単電源動作対応 オペアンプによる位相シフト回路の設計
Noboru , Ji1NZL 

オペンプによる位相シフト回路をネット上で見つけました。
日本で既に特許申請されていました。

2電源式 オペアンプを使った90度位相シフト回路を構成し、LTspiceでシミュレーションしてみました。
ここでの過渡解析は、約16KHzのサイン波を入力し、90度位相をシフトした信号を出力させたものです。

オペアンプには、比較的高い周波数まで使える NJM4558 を採用しました。
このように、90度位相をシフトした信号が綺麗な歪の少ないサイン信号が得られることが確認されました。


この位相シフト回路の優れた点は、このように、非常に広い周波数帯域で、利得が0dBの平坦な利得が得られ、かつ、中心周波数 f=1/(2*π*R*C) [Hz] の周囲で、0度〜360度の位相シフトを得られることがあります。
SDRのMixerや、位相変調、位相復調等、様々な応用が考えられます。



この回路は、上記、位相シフト回路を単電源(+12Vのみ)で動作できるように構成したものです。(※1)
多くのオペアンプ応用回路は、単電源で利用されるので、便利に使えると思います。
ただし、単電源動作にすることで、利得が減るので、その利得を調整できるように抵抗による利得調整機能を加えて、構成しました。



これは、今後の課題になりますが、利得補正した分、広帯域で平坦だった利得特性が平坦でない周波数領域が現れます。
AGC機能を加えれば、この課題も解決できる可能性があります。
ちょっともったいない気持ちもあるのですが、公開しました。


※1: 
仮想グランドはVcc/2[V]であれば良いので、図のようにOPアンプ一個を使ってまでVcc/2[V]を得るのは得策ではないと思います。(単電源用に設計されたOPアンプ採用が賢明です。)
参照した教育記事(LTspiceを扱った国内のサイト)の案内に従った結果、こうした結果を招きました。

抵抗分割で仮想グランドはVcc/2[V]を得るほうがコスト的に有利ですし、教育サイトや高価な専門誌であっても、その教育案内を鵜呑みにすると、こうした設計ミスに近い結果を招くので十分にご注意願います。

またAC電圧だけでなく、DC電圧も増幅できるのがOPアンプの電気的特性の優位点ですので、元々±Vcc動作で設計されたOP アンプを単電源で動かすのは設計思想として適切ではないのではないか?、とも思います。
反省課題として、記事は修正せずにおきます。

ここで参照した教育サイトは、設計上の不具合や事実と異なるシミュレーション結果が、その後も次々に発見されています。
そうしたプロの技術者や先生方も、過去の誤った電子工学教育を受けたネガティブな影響もあると思われます。

現在出版されている専門書でも、多くの理論ミス、設計ミスが見られ、修正がなかなか難しい状況があるのかもしれません。

(学問としての基礎的見直しも必要かもしれません。特にDC特性だけで半導体特性を論じている書籍は、誤った知識を得る結果になる、と僕は考えています。
(例:BJTトランジスタの電位差は0.6〜0.7[V]として、DC計算だけで交流・低周波アンプを設計している場合などは、世界標準から外れたアバウトすぎる、実務には使えない設計法と考えています。)
AC/RF特性(過渡計算方法、AC位相利得計算)を数式で記述し、実計算できる理論書の出版や設計手法の確立が重要課題と思います。

1/11, 2017