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2017年3月5日日曜日

徹底解析:ダイオード検波回路 大振幅AM変調信号受信,DSB変調波受信,無変調キャリア受信,音質最適化

ダイオード検波回路の徹底解析:(暫定版)

大振幅AM変調信号受信動作,
DSB変調波受信動作,
無変調キャリア受信動作,
検波音質最適化の方式


1. 変調率100%以上の大振幅のAM変調波の検波特性

記事[1]で示したように、AM送信局/放送局の変調度が100%以上(変調指数が1.0以上)でも、変調波信号は歪み信号成分を含んでいない。

言い換えれば、通称「過変調」と呼ばれているAM変調波には、電気的関数として歪み信号成分は存在していない。

そうした過変調と呼ばれるAM変調波は、ダイオード検波回路による従来の「包絡線検波理論」によれば、AM変調波の包絡線が、電圧のマイナス側がカットされて、検波信号は歪むと現在でも言われている。[2]

では、実際にそうした「過変調」と呼ばれているAM変調波を、ダイオード検波回路はどのように検波動作するかをここで解析する。


図1.1 ,図1.2,図1.3 は、いずれも 変調率100%以上の大振幅のAM変調波を受信した場合の、ダイオード検波回路の出力電圧と、その周波数成分のスペクトルをFFT解析で見たものである。


図1.1  変調率200%以上の大振幅のAM変調波の検波特性

図1.1にて、従来の「包絡線検波理論」によれば、AM変調波の包絡線が、電圧のマイナス側がカットされて、検波信号は歪み、マイナス側の象限にある包絡線が、検波電圧に現れることになっているが、1KHz 変調率200%以上の検波信号には、そうした「マイナス側の包絡線が現れる現象」が出ていない。

すなわち、「過変調」現象は、ここのダイオード検波回路の動作条件では発生していない。

右側の周波数スペクトル解析に現れている1KHzの高調波成分 2KHz,3KHz・・・の整数倍の信号成分は、ダイオード電流の指数関数特性に由来して計算であらかじめ予測済の高調波歪みであるが[3]、この歪み成分は、前述の「マイナス側の包絡線」が存在しないために、その歪みは無いことになる。

図1.1では、「過変調」と呼ばれてきている受信入力電圧の信号形状がわかりやすいように、赤で変調度200%の信号を前面に表示させた。


図1.2  変調率100%以上の大振幅のAM変調波の検波特性 その2

図1.2では、最大の変調率と考えられてきている変調度100%の受信入力信号を水色で前面に表示し、「過変調」と呼ばれてきている受信入力電圧を背面に表示した。

いずれも、変調度が100%以上の信号を受信しているが、検波出力波形には、前述の「マイナス側の包絡線は現れていない。

すなわち、図1.1と同様に、「過変調」現象は、これら図1.2,図1.3のダイオード検波回路条件でも発生していない。

図1.3  変調率100%以上の大振幅のAM変調波の周波数スペクトル

図1.3には、受信されたAM変調波のスペクトル成分を、キャリアを中心にしてUSB側、LSB側にギャリア信号よりも大きな電圧が含まれていることをFFT解析にて表示したものである。

図1.3では、従来用語の意味において、明らかに「過変調」の送信波が受信されているが、ダイオード検波の検波出力電圧には、前述の「マイナス側の包絡線は現れていない。
(すなわち、過変調の現象は発生していない。)


そうであれば、どのような条件ならば、「過変調」に見える(見間違う)現象が、検波回路出力に現れるだろうか? それについて、項番#4に説明する。



2. DSB変調波の検波動作

ダイオード検波回路をもったラジオや受信機で、DSB変調、またはSSB変調の電波を受信すると、「モガモガ」という音声が聞こえる現象は良く知られている。

その「モガモガ」の音が、どのような仕組みで発生しているかを、図2.1,図2.2を使って説明する。

図2.1 DSB変調波の検波動作

図1.1では、受信電波の電圧源として、キャリア信号=0[V]として、USB信号、USB信号として、1KHzのサイン波をベースバンド信号とするDSB変調波電圧源(疑似DSB変調送信機)を3個のサイン波の加算された電圧源で構成し、そのDSB変調信号を、ダイオード検波回路に入力している。
このようにDSB変調波では、キャリア信号成分が無い。

検波出力には、USB信号とUSB信号の周波数差分である2KHzと、その高調波が現れている。
この現象は、ダイオードの高周波特性である周波数変換動作と、ダイオード電流の指数関数特性により発生している。
このダイオードの周波数変換動作は、ダイオードミキサについての特性として既に良く知られている。

AM変調波の受信では、キャリア信号とUSB信号間、キャリア信号とLSB信号間のそれぞれの周波数変換で1KHzの検波信号が現れるが、DSB変調信号受信では、キャリア信号が存在しないために、このように変調波成分USB,LSB成分同士が、周波数変換動作を起こす。

キャリア信号が無いため、DSB変調波は、ダイオード検波回路ではベースバンド信号が復調されず、変調波成分USB,LSB成分同士が、周波数変換動作で、低周波領域に出力される。

図2.2 DSB変調波の検波動作と、検波信号のスペクトル成分 その1

図2.2は、図2.1の検波出力信号の時間軸を拡大し、また、ここでは存在しないキャリア周波数を中心にした、受信されたDSB変調波のLSB信号とUSB信号の周波数スペクトラム分布を、FFT解析にて周波数軸の周波数幅を狭帯域で見たものである。

赤線、青線、緑線の順で、それぞれUSB,LSB信号成分とその検波出力の電圧を上昇させている。
左下の回路図の下のグラフは、上側が、入力されるDSB変調信号、下側が検波電圧である。
検波電圧は、入力されるDSB信号電圧の上昇により、赤、青、緑の順番で上昇し、それぞれの検波信号のグラフ線は細かく振動しているのが見られる。
この検波信号の細かい振動は、次の図2.3に時間軸を拡大して表示し、その細かい振動を示した。


図2.3 DSB変調波の検波動作と、検波信号のRC回路での振動電圧波形

図2.3は、赤線の検波信号の時間軸を拡大して表示した。
このように細かく振動している周波数の実体は、FFT解析結果を見ると、LSB成分、USB成分の周波数と完全に一致している。

すなわち、検波出力電圧は、ベースバンド1kHzに対し、2KHzの低周波の太い線に見えていたものが、時間軸を拡大すると、LSB/USB周波数成分の細かい高周波変調波の正弦波で構成されていることがわかる。

実際の音声や音楽のベースバンド信号は、多数の正弦波の多重周波数バンドを形成している。このため、多重周波数成分のDSB変調波の変調波信号同士が複雑に絡み合った周波数変換動作がダイオード内部で起こるので、モガモガと聞こえる。


3. 無変調AM波(キャリア)の検波動作

ダイオード検波回路をもったラジオや受信機で、アナウンサが何もしゃべっていない、音楽も流していない無変調状態のキャリア波を受信すると、雑音が少なくなり、無音になる現象を、図3.1,図3.2 を使って説明する。

図3.1  無変調AM波(キャリア)の検波動作 その1

一見して、キャリア信号は、単なるDC電圧に変換されているので、この検波動作は、商用交流電源の整流回路の動作と同じと見間違えてしまう。
ところが、この検波回路で起こっているのは、そうした交流の整流とは全く性質の異なる電気現象が起こっている。

別記事で書いたように、検波回路負荷のRC並列回路からコンデンサを除くと、負荷抵抗両端には、同じ電圧で、プラスとマイナス両方の高周波電圧が現れる。

これは、ダイオードの高周波特性の特徴で、ダイオードでは高周波周波数領域では、高周波電圧に対する利得が上昇し、殆ど貫通するような性質が見られる。
(この特性は交流の整流では周波数が低いために出てこない。)
この性質を利用したのが高周波ダイオードスイッチとして知られている。
[3]

検波回路の負荷を抵抗にコンデンサを加え、RC並列回路にすると回路動作は激変し、キャリア信号等の高周波がコンデンサを通過してグランドに落ち、入力される高周波電圧より大きくドロップしたDC電圧がRC並列回路に現れる。[4]


図3.2  無変調AM波(キャリア)の検波動作 その2

このDC電圧が現れる現象は、一見すると交流の整流に見えるが、上の緑、青、赤線のDC電圧は細かいキャリア周波数によるなめらかな波打つサイン波の信号で形成されている。
そのキャリア周波数の存在は、FFT解析上のキャリア周波数点で、鋭いピークに現れている。
このように検波動作は整流動作とは全く異なる電気現象である。
RC並列回路はローパスフィルタとしての性質を持ち、そのRC並列回路の過度現象として、AM変調波、DSB変調波の高周波信号成分で、細かい高周波電圧振動を起こしている。[5]


4. 過変調と見間違う検波動作現象の再現とダイオード検波の高音質最適化方式

過変調と見間違う現象を再現したものを図4.1に示し、変調率が100%以下で、最も検波歪みが少なくする音質を最適化する方法を図4.2に示す。

図4.1 過変調と見間違う検波動作現象の再現

図4.1で、変調度40%の赤線は、なめらかな1KHzのベースバンド信号のサイン波として検波され、その周波数スペクトラムは、高調波歪み成分が大変少ない。

赤線に対して、変調度を大きくして100%を超えると、包絡線のマイナス側に現れていたものが、プラス側の象限に顔を出す現象が見られる。
この現象が、歪みの無いはずの送信波が、あたかも送信波が歪んでいるような錯覚(「過変調=音が歪む」)を与える。



図4.2 ダイオード検波の高音質最適化方式

このような過変調に錯覚する現象が現れる条件は、図4.2のように、RC並列回路の遮断周波数を5KHz程度の高めの音声周波数上端に移動させるものであることがわかった。

図4.2では、検波回路の利得は0Hzから3KHz程度までフラットで、AM変調での上限と考えられる4.5KHzでも利得差は非常に小さく回路構成できる。

このため、結果的にこうした音声の高域を通過させるようなローパスフィルタ特性を持たせると、ダイオード検波回路の音質は高域まで綺麗に出て良い音質に感じて聞こえるようになると考えられる。


5. RC型LPF(ローパスフィルタ)を負荷にしたダイオード検波回路の動作

ダイオード検波回路の負荷には、ローパスフィルタ特性を持つRC並列回路が使用される。
この負荷を、RC直列回路のローパスフィルタで交替できるか否かを判断する計算を行った。


図5. RC型LPF(ローパスフィルタ)を負荷にしたダイオード検波回路の動作

ダイオード検波回路の負荷に、RC直列回路のローパスフィルタを使用すると、受信感度が大きく下がってしまうことが分かった。
原因は、Rが大きいので直列RC回路では、R両端の電圧降下が大きいため、その分、出力になるC両端電圧が下がってしまうことによる。

このようにRC直列回路のローパスフィルタで交替すると受信特性が劣化してしまう。

引用記事
現在、ここを編集中(暫定公開のため)


2017年2月15日水曜日

AMの過変調,包絡線検波方式,プロダクト検波方式の謎を解く

AMの過変調,包絡線検波方式、プロダクト検波方式について、国内に誤った認識と思しき情報が広がり「いいつつたえ」として定着、それ移行は理論修正が全くされないため、この状況を改善し、電子工学としての前進を試みます。

図1. は、変調率200%(変調指数=2.0)のAM変調電圧 です。

この計算式は、

Vam(t)={Vdc+x(t)}*Vc*sin(ωc*t) ...式(1)

に基づいています。

これまで、そして現在でも、こうした100%変調度を上回るAM変調波は、”過変調”と呼ばれ、送信波形が歪んでいると多くの書籍で語られ、その理解が定着してしまいました。

問題:

(1)AM変調波電圧は数学的計算式とグラフの示す通り、全く歪みはありません。(図1.参照)
 すなわち、送信波形は「過変調」にはなっておらず、変調波の歪みは全くありません。

(2)日本国内で言われているAM変調波の「包絡線」は、明らかに数学関数としての「包絡線」と異なったものです。
図1. 変調率200%(変調指数=2.0)のAM変調電圧


図2.1, 図2,.1 に図1.のAM変調波から取り出した数学的包絡線を示します。

なんら歪みは存在せず、ベースバンド信号である関数曲線は連続性を示し、変調は快調です。
この数学的包絡線を取り出せば、本来の正しい「包絡線検波」が可能です。

この数学的、真の意味の「包絡線」を検波する方式としては、既に「プロダクト検波」、または「同期検波」で実現できています。


図2.1 変調率200%(変調指数=2.0)のAM変調電圧の数学的包絡線 1(上側)

図2.2 変調率200%(変調指数=2.0)のAM変調電圧の数学的包絡線 2(下側)


従来の、日本国内の「包絡線検波方式」を図3.に示します。

図3. 日本国内の「包絡線検波方式」


僕にはいきさつは全くわかりませんが、日本国内の「包絡線検波方式」は、図3.に示すように、ダイオードが、最初の図1,の信号のプラスの電圧を通過させ、マイナス電圧をカットします。

これはおそらく、中学校技術家庭科で習う、商用100V交流の整流動作と同じ考えかたに由来すると推定されます。

この理論は、さらに、ダイオード検波回路後段のRC並列回路が、ピーク・アンド・ホールド動作を起こし、図3.の最大電圧を「ダイアゴナル歪み」を伴って、検波出力電圧になると説明されています。

しかし、ダイオードの高周波特性としては、このような整流動作は起こりません。

確かにシリコン・ダイオードは交流100Vやそれをトランスで分圧した、交流電圧、例えば先頭電圧12[V]を整流し、脈流と呼ばれる波形を出力し、ダイオードの後のコンデンサがそれを充電し、負荷が放電するために、脈流を伴った歪んだリップルと呼ばれる波形になることは、実験でも確認できます。

こうした単一周波数の交流の整流動作を、AM変調電圧の検波動作にそのまま適用することはできません。

倍電圧検波回路の倍電圧出力は、こうした整流動作の「勘違い」から発生した「いいつたえ」として定着してしまっていますが、それは正しくないことが、計算でも実測でも確認できます。

AM変調波電圧は、単一の周波数の交流電圧では構成されておらず、式(1)に従い、キャリア各周波数 ωc を中心に、帯状に無数の周波数による電圧源が加算させる回路で表現されます。

従って、従来の日本国内の「包絡線検波」理論は、ダイオード検波回路には適用できず、そのような電気的動作は再現できません。


付録:

AM変調の電圧式

Vam(t)={Vdc+x(t)}*Vc*sin(ωc*t) …式(1)

プロダクト検波の計算

Vout(t)=Vam*{2*sin(ωc*t+φ(t))} …式(2)
={Vdc+x(t)}*Vc*sin(ωc*t)*{2*sin(ωc*t+φ(t))}
=2*Vc*{Vdc+x(t)}*sin(ωc*t)*{sin(ωc*t+φ(t))}
=2*Vc*{Vdc+x(t)}*sin(ωc*t)*{sin(ωc*t)*cos(φ(t)+cos(ωc*t)*sin(φ(t))}
=2*Vc*{Vdc+x(t)}*{ {sin(ωc*t)}^2 *cos(φ(t)) +sin(ωc*t) *cos(ωc*t)*sin(φ(t))}
=2*Vc*{Vdc+x(t)}*{ (-1/2)*{cos(2*ωc*t) -cos(0)}*cos(φ(t))+(1/2)(sin(2*ωc*t)+sin(0))*sin(φ(t)) }
=Vc*{Vdc+x(t)}*{ (-1)*{cos(2*ωc*t) -cos(0)}*cos(φ(t))+(sin(2*ωc*t)+sin(0))*sin(φ(t)) }
=Vc*{Vdc+x(t)}*{ (-1)*{cos(2*ωc*t) -1}*cos(φ(t))+(sin(2*ωc*t)+0 )*sin(φ(t)) }
=Vc*{Vdc+x(t)}*{ (-1)*{cos(2*ωc*t)*cos(φ(t)) -cos(φ(t))})+sin(2*ωc*t)*sin(φ(t)) }

2*sin(ωc*t+φ(t)):局部発振器(Local OSC)の電圧式[V],φ(t):位相ずれ[rad/s]

LPF のカット周波数 ω cut[rad・Hz] < 2*ωc[rad・Hz] に設定すると
2*ωc[rad・Hz]の高い周波数成分が除去されるので、

LPF(Vout(t))= Vc*{Vdc+x(t)}*cos(φ(t)) … 式(3), プロダクト検波の出力電圧式
式(3)がプロダクト検波で復調されたベースバンド信号x(t)の式で、x(t)は、オリジナルのベースバンド信号x(t)について線形性を維持している。

ここで 位相ずれ 0≦φ(t) ≦2π で、-1≦cos(φ(t))≦+1 なので、
復調信号は、Vc*{Vdc+x(t)} が、時間的に-1~+1倍の幅で電圧値が変化する。
(具体的にはここで位相φ(t)は局部発振器の周波数ωcの位相が時間的にゆっくり変化する場合、その復調電圧 LPF(Vout(t))、瞬時的に最小0V 出力 0[V]となる出力変化を見せる。)

同期検波では、位相ずれφ(t)がキャンセルされるので、
cos(φ(t))=1 と制御するので、
LPF(Vout(t))= Vc*{Vdc+x(t)}… 式(4), 同期検波の出力電圧式

式(3),式(4)について、特殊化し、単一周波数の変調信号 x(t)=2.0*cos(2π*1000*t), Vdc =1.0 ,と設定すると
LPF(Vout(t))= Vc*{1.0+2.0*cos(2π*1000*t)}*cos(φ(t)) … 式(3)’
LPF(Vout(t))= Vc*{1.0+2.0*cos(2π*1000*t)}… 式(4)’

式(3)’, 式(4)’は、ベースバンド信号 x(t)=2.0*cos(2π*1000*t) に対し、線形関係を維持しているので、プロダクト検波、同期検波ともに、復調時の歪みは発生せず、ベースバンド信号を復調できる。
(これが本来の意味で、「数学的包絡線検波」動作となる。)

ここの特殊例では、
1.0+2.0*cos(2π*1000*t)
が「数学的包絡線」と一致する。

これは、振幅幅±2.0[V]はもちろん、理想アナログ乗算器を用いると、数学的に最大振幅±2.0[V]はいくら大きくなってもよく、それでも検波歪みは全く発生しないことを意味する。

(変調度100%以上の200パーセント,300,400%・・・となってもなんら歪み無く復調できる。)
(数学的には、変調度100%以上でも変調波電圧信号そのものに歪みがなく、かつプロダクト検波、同期検波は検波動作でも歪みが発生しないので、「過変調=歪む」の意味がもともとどのような電気的現象を意味していたのかわからなくなる、となる結果が数式から導かれる。)

AM変調/DSB変調/SSB変調電圧の可視化(見える化)

0〜100%〜200% 変調度のAM変調電圧波、DSB変調電圧波、SSB変調電圧波を、計算式とともに数値計算結果をグラフにしました。

ダイオード検波方式

日本国内では、検波用ダイオード(1N60が有名)に、RC並列回路を接続したダイオード検波回路が、「包絡線検波」と呼ばれる「定説」が現在まで引き継がれて語られ、現在でも、書籍やネットに書かれている。
この「定説」がいつ生まれ、どのように広がったてきたのか、そのいきさつは現在不明。

一方、ここでの解析結果では、こうした「包絡線検波回路」は、受信されたAM変調電圧波の包絡線と一致する説明記事は再現できなかった。
ここの解析では、AM電圧波のピーク・ホールドする動作が再現せず、またピーク電圧間を結ぶダイアゴナル歪みによる電圧も再現していない。

ここの検波動作解析結果では、受信されたAM変調波は、ダイオードの持つ周波数変換動作により、キャリア電圧と変調波電圧の周波数差分が現れ、それがベースバンド信号の低周波領域に現れていると推定している。
(ダイオードによる周波数変換動作、ミキサー動作はすでに公知の事実。)

その復調波電圧は、グラフに書くと目には太い線に見え、その時間軸を大きく拡大すると、その太い線はキャリア波の細かい正弦波信号で構成されており、従来の「包絡線検波」とは全く別の概念/意味での2本の包絡線が存在し、微小な電位差の二つのベースバンド信号が包絡線となり、その包絡線に包まれるように、キャリア信号のなめらかな(ギザギザではない)正弦波の微小振動電圧の存在が見られる。
この微小電圧のキャリア波の振動は、ダイオードの後のRC回路が引きおこしている過渡現象かもしれない。
復調信号電圧のFFT解析では、キャリア周波数に一致する周波数にかなり高い信号レベルのピーク電圧が観測されるので、これは、先の二本の包絡線に包まれた微小電圧のキャリア正弦波の振動電圧の存在に対応すると推定している。(現在、解析中)

ダイオード検波の数学的計算の困難さ

変調電圧は複数の周波数の加算された複数交流を直列に加算したものになるが、
一方、コンデンサやダイオード,のインピーダンスは、周波数一定の高周波交流電圧に対し、1:1に対応して計算できるが、周波数の異なる交流電源が複数存在すると、それらのインピーダンスの計算方法が一意に定まらず、同時に異なる複数の周波数に対し、複数の異なるインピーダンスが同時に存在してしまう。この多重周波数の多重インピーダンスをどのように考えて計算する計算方法が課題。

産業上のメリット
無電源、無調整で実用になるAM検波回路が安価に容易に構成できる。
デメリット
指数関数特性に由来する高調波歪みの発生を防げない。

履歴:
Rev.0.1 : 2020/12/11  
AM変調/DSB変調/SSB変調電圧の可視化(見える化) 動画追加

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2016年12月11日日曜日

AM変調波/DSB変調波/SSB変調波をグラフと数式で見える化(可視化)する

AM変調/DSB変調/SSB変調は、それぞれ次の用途に使用されている。

(1)AM変調
  公共向けの中波放送、短波放送、航空無線通信
(2)SSB変調
 特定向け遠距離通信
(3)DSB変調
 特定向け遠距離通信

以下、AM変調/DSB変調/SSB変調による信号電圧を、数式とそのグラフを対応させて、目で見てすぐにわかることを目指して見える化する。
AM電波の各変調形式を電圧の変化するグラフと数式を対応させた。


1. AM変調波



図1 .0  AM変調波 変調度=10% (変調指数=0.1)


図1.0は、キャリア信号600[KHz]尖頭電圧1.0[V]のコサイン波に対し、尖頭電圧0.1[V]、1[KHz]のベースバンド信号(音声信号)で変調した場合の電波の電圧変化の姿を示した。
(背後の灰色の信号は、変調度 0%(無変調)を重ねて表示した。)




図1 .1  AM変調波 変調度=0% (変調指数=0)

図1.1は、無変調すなわち、中波AMラジオ放送局のアナウンサが何もしゃべらず、音楽も流さないベースバンド信号(低周波入力変調信号)が無音状態の、キャリア600[KHz]電波を時刻を横軸に、電圧を縦軸に示した。

高周波電圧の正弦波(サイン波)は、周波数が高いため、このように振幅がほとんど一定に見える真っ黒のグラフになる。


図1 .2  AM変調波 変調度=50% (変調指数=0.5)


図1.2は、キャリア信号600[KHz]尖頭電圧1.0[V]のコサイン波に対し、尖頭電圧0.5[V]、1[KHz]のベースバンド信号(音声信号)で変調した場合の電波の電圧変化の姿を示した。
(背後の灰色の信号は、変調度10%, 0%を重ねて表示した。)




図1 .3  AM変調波 変調度=100% (変調指数=1.0)


図1.3は、キャリア信号600[KHz]尖頭電圧1.0[V]のコサイン波に対し、尖頭電圧1.0[V]、1[KHz]のベースバンド信号(音声信号)で変調した場合の電波の電圧変化の姿を示した。




図1 .4   AM変調波 変調度=150% (変調指数=1.5)

図1.4は、キャリア信号600[KHz]尖頭電圧1.0[V]のコサイン波に対し、尖頭電圧1.5[V]、1[KHz]のベースバンド信号(音声信号)で変調した場合の電波の電圧変化の姿を示した。
(背後の灰色の信号は、変調度100%,50%,10%, 0%を重ねて表示した。)




図1 .5   AM変調波 変調度=200% (変調指数=2.0)


図1.5は、キャリア信号600[KHz]尖頭電圧1.0[V]のコサイン波に対し、尖頭電圧2.0[V]、1[KHz]のベースバンド信号(音声信号)で変調した場合の電波の電圧変化の姿を示した。
(背後の灰色の信号は、変調度150%,100%,50%,10%, 0%を重ねて表示した。)




図1 .6  AM変調波 キャリア低減=50%

図1.6は、キャリア信号600[KHz]尖頭電圧を0.5[V]に低減したコサイン波に対し、尖頭電圧1.0[V]、1[KHz]のベースバンド信号(音声信号)で変調した場合の電波の電圧変化の姿を示した。




図1 .7   AM変調波 キャリア低減=90%

図1.7は、キャリア信号600[KHz]尖頭電圧を0.1[V]に低減したコサイン波に対し、尖頭電圧1.0[V]、1[KHz]のベースバンド信号(音声信号)で変調した場合の電波の電圧変化の姿を示した。

ここでさらに、図1.7のキャリア信号600[KHz]尖頭電圧を0.0[V]に低減すると、キャリア信号が完全に失われ、以下、項番#2のDSB変調波 図2.1のように、その姿を変化させる。


図1.1〜図1.7の全てについて、その電圧関数の包絡線関数が、変調信号電圧と一致し、この図の波形は、プラス側の象限、マイナス側の象限に対し、時間軸を中心に上下対称に、周波数1[KHz]、尖頭電圧1.0[V]のサイン波が見られる。

上記図1.1〜図1.7の全てについて、AM変調では、計算式上、その変調波の包絡線はサイン波の形を維持しており、歪みは無い。[1]



2. DSB変調波

図2.1  DSB変調波 変調度=∞ % (変調指数=∞)

図2.1は、キャリア信号600[KHz]のコサイン波が失われた、尖頭電圧1.0[V]、1[KHz]のベースバンド信号(音声信号)で変調した場合のDSB電波の電圧変化の姿を示した。

変調度または変調指数は、キャリア電圧先頭値が0[V]になるため、その計算値の分母が0に近づくため、無限大となり、その値が計算できなくなる。

DSB変調でもAM変調と同じように、その電圧関数の包絡線関数が、変調信号電圧と一致し、この図の波形は、プラス側の象限、マイナス側の象限の上下対称に、周波数1[KHz]、尖頭電圧1.0[V]のサイン波が見られる。

ただし、DSB変調では、その包絡線関数は、その関数値は、時間軸を境界線にして、プラスの象限からマイナスの象限に落ちこみ減少を続けた後に、逆に、マイナスの象限からプラスの象限へ増加し振幅を繰り返すようになる。

DSB変調でも、AM変調と同様に、計算式上、変調波の包絡線はサイン波の形を維持しており、変調電圧に歪みは発生し無い。[1]


図2 .2  DSB変調波+キャリア注入10% 

図2.2は、キャリア信号600[KHz]の尖頭電圧を10%である0.1[V]に対して、尖頭電圧1.0[V]、1[KHz]のベースバンド信号(音声信号)で変調した場合のDSB電波の電圧変化の姿を示した。





図2 .3  DSB変調波+キャリア注入50% 

図2.3は、キャリア信号600[KHz]の尖頭電圧を50%である0.5[V]に対して、尖頭電圧1.0[V]、1[KHz]のベースバンド信号(音声信号)で変調した場合のDSB電波の電圧変化の姿を示した。




図2 .4  DSB変調波+キャリア注入100% 

図2.4は、キャリア信号600[KHz]の尖頭電圧を100%である1.0[V]に対して、尖頭電圧1.0[V]、1[KHz]のベースバンド信号(音声信号)で変調した場合のDSB電波の電圧変化の姿を示した。

ここで、DSB変調は、AM変調の変調率100%(変調度=1.0)のAM変調へ姿を戻している。



以上、図2.1, 図2,2 ,図2,3, 図2,4のいずれのDSB変調でもAM変調と同じように、その電圧関数の包絡線関数が、変調信号電圧と一致し、この図の波形は、プラス側の象限、マイナス側の象限の上下対称に、周波数1[KHz]、尖頭電圧1.0[V]のサイン波が見られる。

DSB変調でも、AM変調と同様に、計算式上、包絡線はサイン波の形を維持しており、変調電圧に歪みは発生し無い。[1]




3. SSB変調波


SSB変調では、キャリア信号が無く、キャリア周波数の片側だけの側波帯(USBまたはLSB)信号式は、ベースバンド信号の尖頭電圧値を一定、周波数成分を単一のものに維持した場合、単なるサイン波の姿になる。


図3.1 USB変調波 時間軸幅=大きい

図3.1は、USB変調の尖頭振幅電圧0.1[V], 0.5[V], 1.0[V], 1[KHz]のベースバンド信号による高周波電圧を、時間軸幅を大きな値で見た場合のUSB電波の姿を示した。

ただし、USB変調波の周波数は、存在しないキャリア周波数に対し、べースバンド信号の周波数(ここでは1[KHz])だけ高くなる。




図3.2 USB変調波 時間軸幅=小さい

図3.2は、図3.1のUSB電圧信号を、時間軸幅を拡大して、同じ電波の姿を描いたものである。
このように、振幅一定のUSB電波は、単なるサイン波の姿になっている。
ここでその周波数は、601[KHz]である。


図3.3 LSB変調波 時間軸幅=大きい


図3.3は、LSB変調の尖頭振幅電圧0.1[V], 0.5[V], 1.0[V], 1[KHz]のベースバンド信号による高周波電圧を、時間軸幅を大きな値で見た場合のLSB電波の姿を示した。

ただし、LSB変調波の周波数は、存在しないキャリア周波数に対し、べースバンド信号の周波数(ここでは1[KHz])だけ低くなる。



図3.4  USB変調波 時間軸幅=小さい

図3.4は、図3.3のLSB電圧信号を、時間軸幅を拡大して、同じ電波の姿を描いたものである。
このように、振幅一定のLSB電波は、単なるサイン波の姿になっている。
ここでその周波数は、599[KHz]である。


図3.1〜図3.4では説明をわやりやすくするために、ベースバンド信号の先頭電圧を一定にし、またその周波数成分も単一の1[KHz]で説明した。

ただし、現実のベースバンド信号は、尖頭電圧の振幅が時間的に変化し、周波数成分も同時に多重で帯状に0[Hz]〜3[KHz]に存在するため、振幅も周波数成分も時間的に任意に変化する。


参考資料
[1]過変調:日本国内では、100%以上の変調度が「過変調」と呼ばれ、変調波形が歪んでいると言われきており、多くの書籍にそう説明されてきている。
しかし、このブログの計算式を見る限り、変調波は100%以上でもなんら計算値に歪みは無い。

べースバンド信号に対応する包絡線は、プラス〜マイナスの象限を行き来するが、なめらかに連続している、
これらの変調度100%以上のAM変調波は、プロダクト検波で受信すれば、何ら歪みなく、ベースバンド信号は復調されるはずである。

日本国内の包絡線検波理論は、ベースバンド信号に対応する包絡線を取り出さず、マイナス象限の信号をカットするため、これが歪む、と現在でも勘違いされているものと考えられる。
ダイオード検波回路も、日本国内で言われている包絡線検波理論に従った回路動作は見られない。(本ブログ記事に記載した。)


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2016/1/21
変調度10% AM変調波の図1.0を追加