2022年6月7日火曜日

任意のサイン波(正弦波)による交流電圧または高周波電圧式は、複素数形式の電圧式で表現できる

😇 Noboru, Ji1NZL

目的:

任意のサイン波(正弦波)による交流電圧または高周波電圧式は、複素数形式の電圧式で表現できることを明らかにする。


解決しようとする課題:

下記、従来のサイン波(正弦波)電圧の複素数形式の式は、ペアの正、負の周波数の複素電圧ベクトルの複素共役の関係が式(1)の表現ではわかりにくかった。ここでは、サイン波(正弦波)電圧の複素数形式の式表現を見直し、複素共役の関係を直感的にわかりやすい表現の式へ変換する。
加えて、交流から高周波の電波まで、その電圧式が一貫して同じ式で表現できることを明記する。

文献[1]より、

sin(ωt)={exp(jωt)-exp(-jωt)}/(2j) …(1)


一方、オイラーの公式より、式(2),(3)が成り立つ。

j=exp(jπ/2) …(2)

-1=exp(jπ) …(3)


式(2)を式(1)へ代入すると、

sin(ωt)={exp(jωt)-exp(-jωt)}/(2exp(jπ/2)) 

           ={exp(jωt-jπ/2)-exp(-jωt-jπ/2)}/2

           ={exp(j(ωt-π/2))-exp(-j(ωt+π/2))}/2 …(1)’


式(1)’ に、式(3)を代入すると、

sin(ωt)={exp(j(ωt-π/2))+exp(jπ)exp(-j(ωt+π/2))}/2

           ={exp(j(ωt-π/2))+exp(jπ-j(ωt+π/2))}/2

   ={exp(j(ωt-π/2))+exp(j(-ωt-π/2+π))}/2

          ={exp(j(ωt-π/2))+exp(j(-ωt+π/2))}/2

          =(1 / 2){exp(j(-π/2+ωt))+exp(j(+π/2-ωt))}  …(4)


式(4)は、交流電圧V(t)=sin(ωt) は,複素数座標(Re, Im) 上で、半径1 /2 の円周上を、

一個の複素ベクトル電圧が、初期座標点(0, j / 2 )として半時計方向に、角速度 +ω[rad/s] で回転し、

もう一個の複素ベクトル電圧が、初期座標点(0, - j / 2 )として時計方向に、角速度 -ω[rad/s] で回転する。


それら、2つの複素ベクトル電圧を図示 (動画)すると、それぞれが複素共役の関係にあり、加算した複素電圧は、実数軸上の単振動 -1 ≦ Re = sin(ωt) ≦ +1 となっていることを意味する。


動画1. 複素数平面を単振動する交流電圧/高周波電圧の可視化


式(4)の複素数単位電圧を一般化すると、

V(t)=Eosin(ωt)=(Eo / 2){exp(j(-π/2+ωt))+exp(j(+π/2-ωt))} … (5)

{Eo: E0 ∈R , R は実数の集合}


式(5)は、任意のサイン波(正弦波)によるペアの複素交流電圧ベクトルまたは複素高周波電圧ベクトルが、それぞれが複素共役の関係となり、それらを加算した複素電圧が、

実数軸上の単振動 -Eo[V] ≦ ( Re = Eosin(ωt) ) ≦ +Eo[V]  となることを意味する。


一方、

exp(j θ)を式(4)の両辺に乗算すると、

exp(jθ)sin(ωt)=exp(jθ){exp(j(-π/2+ωt))+exp(j(+π/2-ωt))}/2 

      = (1 / 2)){exp(j(-π/2+ωt+θ))+exp(j(+π/2-ωt+θ))}  …(6)


複素数座標≡(Re, Im)にて、式(6)は実数軸上の単振動 -1 ≦ Re = sin(ωt) ≦ +1

が、複素数座標上で時計方向に+θ[rad] 傾けた複素数座標上の直線軸上を単振動することを意味する。 


参考文献:

[1]トランジスタ技術2002年4月号,CQ出版社p61,(45)式

[2]京都大学OCW “波動論”,複素数領域での単振動微分方程式の解法

[3]東京工業大学 松澤研究室「なぜ複素数で電気信号を表すのか」2017

「AM/FM信号は数値演算で復調可能である」:変調式と復調式

[4]アナログ電子回路, 筑波大学


revision:

初版;2022/06/06 

Rev.0.1: 文章推敲、内容変更なし 2022/06/08


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