2016年12月30日金曜日

バリキャップによる周波数変調 FM変調送信機(FMワイヤレスマイク)

このバリキャップ (ここではMV2201)を使ったFM変調送信機(FMワイヤレスマイク)は、個人の簡易用途用として実用になることを実機でも確認しています。


2SC4081(Rohm社), 2SC3904で動作できると見積もられます。
(spice modelはLTspice標準実装のデータです。)

この回路定数のままでは2SC1815, Y, GRでは発振が停止しました。


ここの2SC1907のspice modelの出処が不明で、信頼性が不明ですが、動作はするかもしれません。

安価にできるので、簡易な用途向きで、趣味、実験、学習用、遊びに楽しく使えます。

(ただし高音質オーディオ用途や、通信機用の周波数安定度は期待できません。)


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レシオ検波による80MHz FMダイオードラジオの性能見積もり

レシオ検波を使い、FM放送 76MHz〜108MHzを直接ダイオード検波する作例がネット上にあるので、80MHz FMダイオードラジオを構成し、性能見積もりをしてみた。

図1. レシオ検波によるFM放送の受信 過渡解析

図2.1  F/V変換特性 その1

図2.2  F/V変換特性 その2

図2.1  F/V変換特性
位相の変曲点が3点ある。
(1) 51[MHz]近傍で利得極大値
(2) 65[MHZ]近傍で利得極小値
(3) 97[MHz]近傍で利得極大値


中心周波数 fo=80[MHz] 近傍では、狭い周波数範囲で電圧値は直線関数に近似できるが、FM変調される周波数帯域での電圧幅の変化が大変小さく、良くても10[uV]程度の微小変化幅(感度が低い。orz)

80MHz近傍は位相変化が一定で、FM変調ができ、位相変化が起こらない特性が出せる。:-)

図2.1  F/V変換特性
R6,=R7=20K ohm 追加
F/V変換特性は、#1とほぼ同じ。
利得はわずかに下がる。


結果:
FM復調はできるが、期待値である2Vpepの出力からは非常に小さい20[mV]〜30[mV]となった。
クリスタルイヤホンで聞こえ、アンプで増幅すればスピーカも鳴ると予想されるが、FM放送に適するフィルタが無いので、混信除去が出来ない。

FM放送周波数帯 76[MHz]〜108[MHz]のFM変調波を、レシオ検波、フォスターシーレ検波直接検波すると、感度が大変低くなることが予測される。

近くの強い放送局だけの受信はできるかもしれないが、実験は苦労が相当に伴うかもしれないと思える。

従来製品には10.7[MHz] IFへいったんダウンコンバートしてから、FM用フィルタを介してからIFアンプで十分な利得をとってからこの検波回路を使った製品例はラジカセにあったのではないかと思われる。それらはおそらく実用的だったはずと推定される。


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クワドラチュラ(Quadrature) PM/FM 復調回路動作の基礎検討

インターネット上の検索で見つかった455[KHz] IFアンプ後段に使うクワドラチュラ(Quadrature) FM 復調回路の動作をLTspiceで、検波特性原理の理解を試みた。






図1. 過渡解析結果(+高域FFT解析)

(1) 455[KHz] ± 25[kHz] 音声信号(ベースバンド) 100[mV]を送信して、それをクワドラチュラ(Quadrature) FM 復調回路で検波した出力信号を図1.1に示す。

±18[mV]の1[KHz]の歪んだベースバンド変調信号が出てきたので音は復調はする。

しかし、二次、三次、4次の高調波が出てしまい音質はかなり悪くなると予想される。

図1.2 過渡解析結果(+狭帯域FFT解析)

図1.2では、(1) クワドラチュラ(Quadrature) FM 復調回路で検波した出力信号を図1.1の検波出力信号の周波数スペクトラムの周波数軸を広くして見た。

455[KHz]中心に多数の余分な周波数成分が広がり、結果は必ずしも思わしくない。


図2  AC解析結果

同回路のFrequency/Voltage変換、Phase/Voltage変換特性を見てみたところ、どちらもほぼ一定の値で期待する直線傾斜が出てこない。

この回路(図1)ではFM変調、PM変調の復調には向かないかもしれない。
この回路の復調特性を改善するには、LCコイルの共振周波数fo[Hz]を少しずらし、
fo-⊿f[Hz]または、fo+⊿f[Hz]にすることで、F/V変換器の中心周波数を、LC同調回路の
利得カーブの傾斜角度をスロープさせることで、歪みを少なく改善できる。

多くのラジオ関係の書籍では、こうしたLC共振周波数の中心周波数を、
FM変調波の中心周波数に合わせるという誤った解説がされているので、
従来の記事は同様のF/V変換についての理解と解説ミスが存在している。





























図3. クワドラチュア検波用ICの構成例 NJM-2590 (引用 出典:Copyright by JRC inc.)

図3は、NJM2590 JRC社のQuadrature検波用ICの例。

図1と構成は似ているが、セラミック振動子 455[KHz]が利用されている。
FSK復調が取り出せる等の相違がある。


簡単な考察:

(1)原理1 (図1の動作)

PM(位相変調)信号波と、コンデンサで90度位相をずらしたPM波を乗算して、LPF(ローパフィルタ)で位相の変化を取り出す思想と考えられている。[1]

Vin(t) = Vc*sin(ωc+θ(t)) ...(1)
Vosc(t)=Vc*sin(ωc+θ(t)-π/2) = -Vc*cos(ωc+θ(t)) ...(2)

式(1),式(2)を乗算すると、

Vin(t)*Vosc(t)=Vc*sin(ωc+θ(t)) *{-Vc*cos(ωc+θ(t))} ...(3)
                        =-Vc^2*(1/2){sin(2ωc+2θ(t))+sin(0) }
                        = -Vc^2*(1/2){sin(2ωc+2θ(t))} ...(3)'

(3)'式にLPFを通過させると、高周波成分2ωc+2θ(t) [Hz]が除去されるので、

Vout = 0 ...(4)

困ったことに出力が何も出てこない計算結果になってしまう。


(2)原理2 (NJM2590)

前の計算方法では、出力が0で信号が出てこなくなるので、局部発振器では、セラミック振動子455[KHz]のOSC信号が乗算器に加わると仮定してみる。


Vin(t) = Vc*sin(ωc+θ(t)) ...(5)
Vosc(t)=Vc*sin(ωc-π/2) = -Vc*cos(ωc) ...(6)

式(5),式(6)を乗算すると、

Vin(t)*Vosc(t)=Vc*sin(ωc+θ(t)) *{-Vc*cos(ωc)} ...(7)
                        =-Vc^2*(1/2){sin(2ωc+θ(t))+sin(θ(t) }
                        = -Vc^2*(1/2){sin(2ωc+θ(t))+sin(θ(t))} ...(7)'

(7)'式にLPFを通過させると、高周波成分2ωc+θ(t) [Hz]が除去されるので、

Vout = -Vc^2(1/2)*sin(θ(t)) ...(8)
          ≒ -Vc^2(1/2)*θ(t) ...(9)   (∵ θ(t)≒0 の時、sin(θ(t) = θ(t) で近似できる。 )

式(9)で前段にリミッターアンプで振幅を1[V]にすると仮定すると、

Vout ≒ (1/2)*θ(t) ...(10)

(10)式は、PM/FM変調波 Vin(t) (1)式の位相変化関数θ(t)の近似的に復調できることになる。

しかし、(10)式は、|θ(t)| >0 の時、sin(θ(t) = θ(t) で近似できなくなる。 


この課題を解決するため、
式(8) で、
リミッターアンプを検波前段に置き Vc=1=Vc^2 として
式(8)からの復調を考える。

Vout = -(1/2)*sin(θ(t)) ...(8)'
-2*Vout = sin(θ(t))

∴ θ(t) = arcsin(-2*Vout) ...(9)

式(9)で、位相変化成分θ(t)が歪みなく取り出せる。
これは位相変調(PM変調)が復調できたことを意味する。

ところが、FM変調では、音声信号(ベースバンド信号)が、時間での積分演算と係数倍(k)になっているので

θ(t)=∫k*x(t)dt ...(10) 定積分範囲:0〜t[s], kは定数

このため、ベースバンド信号 x(t) は、θ(t)を時間で微分して、

dθ(t)/dt=k*x(t) ...(11)

∴x(t)= (1/k)* dθ(t)/dt ...(12)

式(12)は、FM変調が復調できることを意味する。


しかし、Quadrature検波回路では、
sin()関数逆関数 arcsin()演算と微分演算機能が無いので、良好な音質のFM復調はできそうにない。

この課題を解決するには、AD変換器でLPFからの出力信号を数値に変換し、マイコンの数値演算で、arcsin()演算と微分演算を行い、演算終了後、DA変換器でアナログ電圧に戻すと、歪みの無いFM復調が実現できると考えられる。


Rev.1.0:  従来のクワドラチュア検波理論では、"Quadrature"の用語から、式(6)は、FM変調波の中心周波数から、位相が90度ずれた時間的に連続するRFキャリア信号電圧が出てくると仮定している、と考えられる。
ところが、FM/PM変調波は、周波数または位相が変化する単一の変化する周波数なので、式(6)の示すFM変調波の中心周波数から、位相が90度ずれた時間的に連続するRFキャリア信号電圧は取り出すことができないという、基礎的な論理ミスが見られる。
この論理ミスは、後述するクワドラチュア検波の理論修正の記事で修正した。2020/09/19 

2016年12月29日木曜日

電圧、電流計算と、電力計算に関するお詫び

電気回路の計算は、多くの場合、オームの法則キルヒホッフの電流則(KCL)、キルヒホッフの電圧則(KVL)を基礎として、それらを接続する線形素子(抵抗コンデンサコイル導線等)、非線形素子(ダイオードトランジスタJFETMOS-FETSCRIGBT真空管豆電球ニクロム線、ほか多数)のインピーダンス(直流から交流での抵抗値)を計算したり、KCLKVLに従った連立方程式(線形一次方程式/線形微分方程式/非線形微分方程式)を解き、目的の電圧v(t)や電流 i(t)を求める計算の手順になると思います。


電力 p(t) は、回路中の v(t), i(t), 負荷インピーダンス Z(ω) が求まった後から、


p(t)=v(t)*i(t) …(1)
     =v(t)^2 ÷ Z(ω) …(1)’
     =Z(ω)*i(t)^2 …(1)’’’


のいずれかの式で計算できますよね。


上の電力式は、計算順序として、v(t), i(t), 負荷インピーダンス Z(ω) のいずれか2つのパラメータ値を先に計算しない限り、電力 p(t) が求まらないことを意味しているように思います。多分ですが・・・。


でも、日本国内では、なんらかの理由で、真っ先にいきなり電力計算をする考え方がネット記事、無線専門誌等が、あちこちに沢山、頻繁に、それも相当数の量、大変熱心で誠実な真剣さをもって、見られますよね。


このように、日本国内で頻繁に見られる、いきなり電力計算をしようとする考え方は、もしかしたら、日本独特の新理論(?)なのかもしれませんけども・・・どういう考えかたか僕にはわかりません。orz


これは僕の個人的考え方になりますが、電圧 v(t) も電流 i(t) もインピーダンス Z(ω) も求まっていない状態で、電力 p(t) から真っ先に計算しようと考えるのは、非常に難しいのではないでしょうか?


野球の話で言うならば、ピッチャーがマウンドを勝手に降りてしまい、誰も交代の人がいなくて、なおかつボールも外野の外に無くしてしまい一個もないのに、
監督からは、
「得点をとらないと、この試合に勝てないのは判るよな。だから打席にたってヒットを打ってこい! 判ったか! これは命令だ!!」
と言われたら、僕はどうしたら良いのでしょうか?


こうしたことを笑い話に読む方もおられるかもしれませんが、野球でも、けっこうマジで辛い思いは、よーくあるんですよ。
このようなヒット打ちを監督から指示・命令されても、僕の力ではとても無理なんです。


さて、状況を振り返って推定してみますと・・・。


そのアプローチ法では、手元に送信機受信機アンテナパワー計があるのでしょう。
ダミーロードもあるかもしれません。

送信機で送信するとパワー計が電力3Wを示しました。
すなわち、この場合は、電力値(実効値尖頭値?)が真っ先に求まってしまうのですね。


さあ、困りましたよ。
アンテナにかかっている電圧や電流はどうすればわかるのでしょうか?


終段トランジスタの電圧や電流も手持ちのオシロスコープでは 50.62[MHz] なんて高い周波数は測れませんし、そんなオシロスコープは売ってもいませんでしたし、あっても恐ろしく高価でとても買えませんよね。高周波の電子電圧計?・・・そんな高いもの買えませんよね。

学校の先生はオシロ使ってもいいよ、と言ってくれてますけど、作った無線機持ってくうちに配線がビミョーに壊れるかも・・・orz


アンテナは SWR=1.2 です。
1.0を目指していますが、1.2以下には下がりません。
アンテナのSWRは、周波数を変えると変化しているようですよ。


そこで送信機からマイクでしゃべると、パワー計は3Wより下がり、大きな声を出すほど、パワー計の値は下がりローカルの通信相手局から、


君の電波変調が薄いよ!


と言われました。


どうして? なぜに、こんな困った現象が発生するのでしょうか?


また誰かが言いました。


「それは表皮効果なんじゃないか?」(本気モード)


この謎解きは、なかなか難しかったと言っても良いのではないでしょうか?
この問題は、もしかして、ひょっとすると、いや今でも、けっこう難しいのはないでしょうか?


あれ? また同じことが本に書いてある。


SSBトランシーバの製作は難しいですが、AM変調ならば簡単に自作できます。
この記事の回路は出力5Wに設計してあります。
八木アンテナを使えば、関東一円は楽に交信できます。
回路図プリント基板配線パターンも本に書きましたから、みなさんも作ってください。
終段トランジスタ・アンプは、C級動作で大丈夫です。
C級アンプですからバイアスを考える必要はありません。
だからトランジスタのベース端子バイアス電圧は0Vでいいんですよ。
受信部は、コリンズ方式ダブルスーパヘテロダイン式高感度です。
RFアンプミキサー部はすべて最新のデュアルゲートMOS-FET混変調にも強い設計です。」


あのー、先生。どうしてもうまくできないので、手紙で質問書きました。


先生のお答えの返事です。


トランジスタには真空管と違って、コレクタ変調がかかりにくい性質があります。
マイナス変調が起こるのは、変調をかけた時に、トランジスタ増幅の動作点が下側に回り込むために起こります。
変調が薄いのが気になる場合は、変調トランスからの中間タップから、ドライブ段ドランジスタコレクタ電源端子へ、終端タップ終段(ファイナル)段トランジスタのコレクタ電源端子に接続して、ドライバ段では変調を浅めにかけファイナルで深く変調すれば、変調が薄くなくなり、濃くかかります。」


あのー、先生・・・。
編集部経由でお手紙でお返事はもらったんですけど、その方法やっても、全然、改善しません。
この場合どうしたら良いのでしょうか?


それと先生、ドライブ段トランジスタは、アナログ乗算器として動作しないといけないんじゃないでしょうか?


アナログ乗算器では、RF電圧の周波数と、低周波アンプの周波数同士で複素数電圧平面周波数と位相回転があるので、AM変調がかかると考えた場合、乗算器を2段連結すると、ドライブ段の変調電圧をファイナル段でさらに乗算して、変調電圧が、AM変調の式から相当に歪んだりしないのでしょうか?
そこ、本当に、それでいいんですか?


それと、変調トランスの出力は、2相の電圧になりますよね。
2相電圧のそれぞれの電圧と、位相差はどう考えて計算したらいいんですか?


僕には、このコレクタ変調は、無理なんでしょうか?
どうか、ご勘弁を、お許し願います。m(__)m


PS.
Bakabon Mama, Bakabon 記
これはパロディーの冗談ですが、今でもかなりまじめ話に、事実に基づいた本当の話かもしれませんよ。

追記:
C級アンプというのは、BJTトランジスタのベース電圧を0[V]に設定して動作させるので、リニア電圧増幅はできません。
C級アンプが非線形アンプの歪みのために、電圧波形は大きく歪むのが電子工学として古来から広く知られています。
SSB/AM/DSB変調はリニアアンプでないと、電波が歪んで電波法で定められた不要輻射成分の抑圧は不可能です。
「AM/変調の終段トランジスタにC級アンプが使える」という日本古来からの「言い伝え」理論的にありえないことではないでしょうか。

C級アンプが使えるのは振幅が一定であるFM/PM変調であって、なおかつBPF,LPFで不要輻射電波を大きく減衰させる電波法による電波の質を良好に保つ義務条件が伴います。

一方、3V程度の低い電源電圧動作でBJTトランジスタをアンプとして使用すると、例えば2SC2053のようなリニア増幅に向いた特性の場合、0.2W程度までは、コレクタ電流が飽和しない狭い増幅領域があり、バイアス電圧0Vでも、コレクタ終段へのAM変調が可能になるかもしれません。

しかし、リニア増幅レンジは、VCE範囲が大変小さな狭いダイナミックレンジになるはずです。
実際の実験の経験的にも1W以上はとても無理でした。
(実際やってみるとわかりますが、従来の日本式プロの仕事のやり方は、試行錯誤の結果であって、1Wでもできるのが神業の領域です。しかし試行錯誤というのは、論理手順がわからないから、いろいろやってみるという最後のやりかたで、日本古来の精神論に近いと思う。最大の問題は時間とコストをかけても、理論が全然無いから、できる保証が無く、一生かけてもできないことも十分あり得る。

たまたま半導体から青色の光がでてもその理由がわからないとか、どうしてネオジム磁石にある種の物質を混ぜると熱をかけても磁力が失われにくいみたいなアプローチは試行錯誤法が主流に見える気がする。)

AM変調回路の設計も、理論無しの思考錯誤法の落とし穴、とにかく動かせ、理屈をこねずに、とにかく作れ、たまたま成功した経験だけにたよるやり方が陥った、解決不能の迷宮にはいったまま抜け出せない、永遠の迷宮の実例と思う。

電力計算から抜けられずに困っているよりも、まず、オームの法則、キルヒホッフの電流則、電圧則から、電圧か電流を計算してから、そのあとに電力を考えるのが、現代までの物理学、電気工学、電子工学による、計算手順に従って計算したほうが、理にかなっていると思う。

ただ、交流の抵抗(インピーダンス)の計算は、数Iの複素数が応用されますが、何故、こんな計算法をして良いのかを教えず、こうやればできるから、それでいいみたいな、教育のアプローチは、理由なしの機械的計算手順を教えるだけだと思う。

何故このような計算をしてよいのか、Z(ωの)計算方法の本質的理由を教えてないと思う。
だから、いずれは自分でその理由を考えなければならず、インピーダンス計算の仕方がいまいちわかりません、という質問がネットに多く見られる原因になっているような気がする。

学校では応用の仕方とか、考え方の手順を教えないで、決まりきった演習問題の多数のパターンをこなして試験の点数をあげることを目標に置いている傾向が続いているので、身近な電気の問題でも、どういった考えから、どういう思考の順序を組み立てて、目的の計算を行うかというような、応用問題へのアプローチ、考え方、応用方法が身につかない?のかなぁ・・・と思うことがあります。

かしこ

参考文献:
[1] 初歩のラジオ 月間連載各誌(2000年ころ休刊中)
[2] ラジオの製作 月間連載各誌(同じく休刊中)
[3] CQ Ham Radio 月間連載各誌
[4]モービルハム 月間連載各誌
[5]ハムジャーナル 各誌
[6]トランジスタ回路の設計
[7] 数I,IIB,III 高校教科書(お勧め); 三角関数、複素数、行列の一次変換、オイラーの公式
[8] 電気工学、電子工学用各種教材(お勧め
[9]トランジスタ技術 月間連載各誌(お勧め)
[10]ブログ ラジオの勉強(お勧め)

※:古い書籍でも、最新の書籍でもネット記事でも、まだ沢山の再現性のない回路、設計、理論があります。それらは改訂されていないため、理論上の誤りを含んだまま、繰り返されて、文化の伝承が続いているようです。
僕が調べた限り、理論修正が必要なケースもかなり多数残っているのがわかってきました。
僕は、今後の改善されるべき課題として、微力ながら、文明の進歩へ努力しようと思います。

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ド・ミ・ソの単音と和音を見える化(可視化)する


ド・ミ・ソの単音、二音の和音、三重の和音をコンデンサ・マイクロフォンの感度程度(0〜±30[mV])を仮定して、マイクから出力される電圧波形をグラフにして描いた。

(1) ド・ミ・ソの和音(三重和音)

ド、ミ、ソのそれぞれ単一のサイン波を足し算(加算)すると、ド・ミ・ソの和音が作れる。

ここでは、ド(261.63[Hz]、先頭電圧10[mV])、ミ(329.63[Hz]、先頭電圧20[mV])、ソ(392.00[Hz]、尖頭電圧30[mV])の単独のサイン波が、それぞれ位相差無しの音を使った。

計算式
x(t)=V1*sin(2π*f1*t)+V2*sin(2π*f2*t)+V3*sin(2π*f3*t)
t ; 時刻 [s]

V1=10[mV], f1=261.63[Hz]
V2=20[mV], f2=329.63[Hz]
V3=30[mV], f3=392.00[Hz]

図1. ド・ミ・ソの和音(三重和音) 電圧波形

(2) ドの単音

一つの周波数の音を電圧にすると、サイン波による時間の関数で書ける。

計算式
x(t)=V1*sin(2π*f1*t)
t ; 時刻 [s]

V1=10[mV], f1=261.63[Hz]


図2. ドの音(単音)電圧波形


(3) ミの単音

計算式
x(t)=V2*sin(2π*f2*t)
t ; 時刻 [s]

V2=20[mV], f2=329.63[Hz]



図3. ミの音(単音)電圧波形

(4) ソの単音

計算式
x(t)=V3*sin(2π*f3*t)
t ; 時刻 [s]

V3=30[mV], f3=392.00[Hz]


図4. ソの音(単音)電圧波形


(5) ド・ミの和音(二重和音)

計算式
x(t)=V1*sin(2π*f1*t)+V2*sin(2π*f2*t)
t ; 時刻 [s]

V1=10[mV], f1=261.63[Hz]
V2=20[mV], f2=329.63[Hz]


図5. ド・ミの和音(二重和音)電圧波形



(6) ミ・ソの和音(二重和音)

計算式
x(t)=V2*sin(2π*f2*t)+V3*sin(2π*f3*t)
t ; 時刻 [s]

V2=20[mV], f2=329.63[Hz]
V3=30[mV], f3=392.00[Hz]


図6. ミ・ソの和音(二重和音)電圧波形


(7) ド・ミ・ソの和音(三重和音)

計算式
x(t)=V1*sin(2π*f1*t)+V2*sin(2π*f2*t)+V3*sin(2π*f3*t)
t ; 時刻 [s]

V1=10[mV], f1=261.63[Hz]
V2=20[mV], f2=329.63[Hz]
V3=30[mV], f3=392.00[Hz]

図7. ド・ミ・ソの和音(三重和音) 電圧波形 (図1と同じもの)



(8) 耳に聞こえる音の電圧式

人の耳に聞こえる音、人の声、楽器の音、雑音、その他、全ての音波を、マイクロフォン等で電圧に変換すると、20[Hz]〜20[KHz]の周波数のサイン波を足し合わせた足し算(加算)で表現できる。

計算式
x(t)=V1(t)*sin(2π*f1*t-θ1(t))+V2*sin(2π*f2*t-θ2(t))+V3*sin(2π*f3*t-θ3(t))+...+Vn*sin(2πfn*t-θn(t))

      =Σ Vi(t)*sin(2π*fi*t-θi(t)) ,
        i=1,2,...n (n≧1, nは整数)

       Vi(t) ; i 番目のサイン波の尖頭振幅電圧の時間の関数
       fi      ; i番目のサイン波の周波数[Hz]
      -θi(t)) ; i番目のサイン波の位相ずれの時間の関数[rad]
              t ; 時刻 [s]

※:なお、コンデンサマイクで音声を電圧に変換すると、耳に聞こえる音波が、電気の電圧波に変換されますが、その電圧波は耳では聞こえません。

可聴周波数領域の電圧波が、流星で発生すると、それが電波の速さで伝わるという”横浜こども科学館”さんのお話しはおそらく迷信だったと考えられます。

オーロラの見える地域や、天文家の間では、そうした耳に聞こえる電波があり、それらは光速で伝わると考えられ、オーロラの音が聞こえる、流星の出す電波の音が聞こえるという、言い伝え(伝説)があります。(これも一種の迷信と思われます。)