キャリア周波数・アナログ乗算式ベースAM変調方式(仮名称)の基礎計算実験
従来方式によるベース変調方式では、出力電圧が無変調になる不具合現象が出ることは、
・実機
・LTspice計算
・数式による計算
について既に示した。
ここでは、こうした従来方式によるベース変調方式をどこまで変調動作特性を改良できるか、BJTトランジスタ1石に条件を限定してアナログ乗算器の特性を引き出せるか、LTspiceのシミュレーション計算で見積もった。
方式の変更:
・TRのベース側に、DC電圧源で底上げしたベースバンドAF信号を入力する。
・TR側のコレクタ側に、キャリア周波数となるRFサイン波を入力する。
・両者の信号をTRに入力し、アナログ乗算機能が出せるかどうか確認する。
・ベースには定電流源500[uA]を入力し、TRがコレクタ電流Icが飽和しない動作領域で動かす。
結果:
・入力するAF電圧が制限されるが、AM変調自体はかかる。
・変調度が浅いため、実用にはならないと思われる。
・近接スプリアスの発生があり、歪み信号の電圧レベルは低いが、アナログ乗算器としては歪みが伴い、けして綺麗な音質は得られない。
(BJTトランジスタ単独でのアナログ乗算動作は実用的ではない。ギルバートセル型BJT TR乗算器の特性よりも、性能は大きく劣る。)
図1. キャリア周波数スイッチング式ベースAM変調方式(仮名称)の過渡解析+広帯域FFT解析 |
図1.に示すように、浅くAM変調はかかっており、AF信号電圧の振幅変化に対するそれほど歪んでいないAM変調波の波形が見られる。
高帯域周波数でのスプリアス発生は、それほど酷いものでは無いが、けして良い特性とは言えない。
図2. キャリア周波数スイッチング式ベースAM変調方式(仮名称)の過渡解析+狭帯域FFT解析(V単位) |
図2.で示すように、[V]単位で見ると、キャリア周辺のLSB,USB 1KHzのピーク電圧が見える。
これ以上、深い変調を与えると歪みが多くなってしまう。
図3. キャリア周波数スイッチング式ベースAM変調方式(仮名称)の過渡解析+狭帯域FFT解析(dB単位) |
図3.で示すように、[dB]単位で見ると、キャリア周辺のLSB,USB 1KHzのピーク電圧周辺に沢山のベースバンド高調波歪みがの存在が見える。
アナログ乗算器としての特性を良くは出せていない。
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