課題:
(1)ヘンテナを作ったが、SWRが送信の実用範囲と言われている1.5以下に下がらない。
(2)給電エレメントをずらしても、SWRの下がる位置が現れない。
(3)そもそも、どの位置に給電エレメントを位置づけるのか、同調周波数と給電エレメントの配置場所があらかじめわからない。
(4)使える周波数の帯域幅がわからない。
(5)どうみても3〜5エレ八木と同等の利得が得られるという噂は本当なのか。
1. マッチング・エレメント位置とヘンテナの電気的特性の計算データ
「ヘンテナ」の特徴、優れている点に、長方形ループ(全体長=2λ)の形を変化させずに、給電エレメント位置をずらずだけで、SWRが1.5以下の送信用の実用範囲に入るというものがあります。
項番#4に示した、給電エレメントを、それぞれループ下側から、95cm,90cm,85cmと5cm間隔で3点を取り、その電気的特性を計算しました。
その結果は以下の通りです。
Hentena Tuning
Stab L C Q f0 BW SWR at 50.1MHz Z(Ohm)
95cm 7.2uH 1.5pF 29.4 49.320MHz 1680.4KHz 3.15/50.1MHz 73.40+j69.46
90cm 7.0uH 1.4pF 28.7 50.036MHz 1742.4KHz 1.55/50.1MHz 76.95+j5.68
85cm 6.7uH 1.5pF 27.6 50.755MHz 1840.1KHz 2.63/50.1MHz 79.83-j56.06
この計算結果では、確かに同調周波数 50.036MHz に、SWR=1.55 の最小値が現れました。
Qが高いアンテナで、同調がシャープになる特徴が見られます。
5cmの給電エレメント移動でも700KHz〜800KHzくらい同調点が敏感に変化する特性が出ました。
インピーダンスの抵抗成分(インピーダンス実数成分)は77Ω前後で、インピーダンスの虚数部が、給電エレメントの位置で、インピーダンス変化は、主として、インダクタンス成分の変化として現れました。
給電用フィーダは、特性インピーダンス50Ωの5D2Vよりも、特性インピーダンス75Ωの5C2Vがマッチング結果が良好になることが分かりました。
2. マッチング・エレメント位置によるSWR特性の変化特性
図2.1 SWR (給電エレメント位置=85cm) |
図2.1 のように、給電エレメント位置を、90cmから5cm上にずらすと、SWR同調点は、大きくずれ、750KHzくらいずれてしまい、SWR=3.15 で、これは、CW/SSB利用帯域では利用できない結果です。
図2.2 SWR (給電エレメント位置=90cm) |
図2.1 のように、給電エレメント位置が、90cmで、SWR同調点は 50.036MHzで、SWR=1.55 で、これは、CW/SSB利用帯域では利用できそうな値になっています。
図2.3 SWR (給電エレメント位置=95cm) |
図2.3 のように、給電エレメント位置を、90cmから5cm下にずらすと、SWR同調点は、大きく下側にずれ、750KHzくらい下がってしまい、50.1MHzで、SWR=3.15 で、これは、CW/SSB利用帯域では利用できない結果です。
以上の結果から、目的周波数に同調させるには、1cmくらいの精度で給電エレメント位置を調整する必要があり、5cm間隔では一挙に750KHzも同調がずれ、SWRは3.0を簡単に越えてしまう結果になりました。
この給電エレメントのスライド調整は、同調周波数がシャープで、スライド位置に約1cm精度の調整が必要となる大変センシティブな特性があるようです。
3. マッチング・エレメント位置によるインピーダンスの変化特性
項番#1に示したインピーダンス計算値に従った、インピーダンスの実部、虚部の変化を、図3.1〜図3.3に示しました。
インピーダンスの虚数部=0 になる周波数が、「ヘンテナ」の同調点です。
確かに、ヘンテナの同調周波数は給電エレメント位置に敏感に対応して大きく変化するという、同調点がシャープで送信可能な周波数帯域が狭くなる特性が見られます。
4. マッチング・エレメント位置の図
図4.1〜図4.3は、それぞれ給電エレメント位置=85cm,90cm,95cmの時の、エレメント編集画面のショットを示しました。
5. 実験での検証
僕の実験では、横1m、縦3mの長方形ループで、SWRは3.0を越えてしまい、送信可能な特性は得られませんでした。
給電エレメントは、IV線3mmΦを使い、縦エレメントに5cm間隔でビニル被覆を向いた調整点を離散させてとったため、これでは、同調周波数が目的周波数に合わなくても仕方ない結果だったと思います。(屋根上での調整はこの精度でも限界で、調整作業は大変危険です。広場でマスト高を約1/2波長にするのが良さそうです。)
「ループアンテナは送信可能な周波数帯域が広い」と教わっていたので、「ヘンテナ」も50MHz〜54MHz全帯域で使える、と実験当時思ってましたが、間違って思い込んだ可能性があります。
(良い結果がでず申し訳ない気持ちがありますが、計算と、実験結果は矛盾していないと思います。)
別記事で、「ヘンテナ」のエレメント長を最適化したものでは、横エレメント=90cmで、CW/SSBバンド向けに好結果になり、やはり、75Ωの給電線5C2Vの利用が良い、という計算結果でした。
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以上の結果から、目的周波数に同調させるには、1cmくらいの精度で給電エレメント位置を調整する必要があり、5cm間隔では一挙に750KHzも同調がずれ、SWRは3.0を簡単に越えてしまう結果になりました。
この給電エレメントのスライド調整は、同調周波数がシャープで、スライド位置に約1cm精度の調整が必要となる大変センシティブな特性があるようです。
3. マッチング・エレメント位置によるインピーダンスの変化特性
項番#1に示したインピーダンス計算値に従った、インピーダンスの実部、虚部の変化を、図3.1〜図3.3に示しました。
インピーダンスの虚数部=0 になる周波数が、「ヘンテナ」の同調点です。
確かに、ヘンテナの同調周波数は給電エレメント位置に敏感に対応して大きく変化するという、同調点がシャープで送信可能な周波数帯域が狭くなる特性が見られます。
図3.1 インピーダンス特性 (給電エレメント位置=85cm) |
図3.2 インピーダンス特性(給電エレメント位置=90cm) |
図3.3 インピーダンス特性(給電エレメント位置=95cm) |
4. マッチング・エレメント位置の図
図4.1〜図4.3は、それぞれ給電エレメント位置=85cm,90cm,95cmの時の、エレメント編集画面のショットを示しました。
図4.1 エレメントの編集(給電エレメント位置=85cm) |
図4.2 エレメントの編集(給電エレメント位置=90cm) |
図4.3 エレメントの編集(給電エレメント位置=95cm) |
5. 実験での検証
僕の実験では、横1m、縦3mの長方形ループで、SWRは3.0を越えてしまい、送信可能な特性は得られませんでした。
給電エレメントは、IV線3mmΦを使い、縦エレメントに5cm間隔でビニル被覆を向いた調整点を離散させてとったため、これでは、同調周波数が目的周波数に合わなくても仕方ない結果だったと思います。(屋根上での調整はこの精度でも限界で、調整作業は大変危険です。広場でマスト高を約1/2波長にするのが良さそうです。)
「ループアンテナは送信可能な周波数帯域が広い」と教わっていたので、「ヘンテナ」も50MHz〜54MHz全帯域で使える、と実験当時思ってましたが、間違って思い込んだ可能性があります。
(良い結果がでず申し訳ない気持ちがありますが、計算と、実験結果は矛盾していないと思います。)
別記事で、「ヘンテナ」のエレメント長を最適化したものでは、横エレメント=90cmで、CW/SSBバンド向けに好結果になり、やはり、75Ωの給電線5C2Vの利用が良い、という計算結果でした。
[ Reference ]
[1] R. F. Harrington: “Field Computation by Moment Methods”, IEEE Press, New York, 1993
[1] R. F. Harrington: “Field Computation by Moment Methods”, IEEE Press, New York, 1993
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