2015年7月11日土曜日

各種ゲルマニウムラジオの実験/ゲルマニウムラジオの設計概念の基礎的見直し


このダイオードラジオは、ダイオードにBAT54というショットキーダイオードを使用しています。この回路では次の2点の工夫により、従来のゲルマラジオよりも20dB以上もの高感度の電圧利得を得ています。

(1)入力側のLC共振回路をトランス構成として、受信電波の電圧を昇圧させ、利得を稼いでいます。この利得向上効果は劇的なもので、20dB以上の電圧利得になりました。

(2)利得が600KHzで最大になるように、同調コンデンサを0.2uFと大きな値で最適化しました。

このAC解析では、BAT54が、低周波領域、高周波領域とも、交流を良く通過させる利得特性が見られます。

欠点としては、混信に弱くなっている特性が見られます。


この図は、上記回路を過渡解析したものです。FFTの示すように、出力電圧は歪みを含みますが、サイン波に近い変調信号が復調されています。


この回路は、従来より現在まで、倍電圧出力を得るゲルマラジオとして書籍等やインターネットにより語り継がれている有名な回路のAC解析結果です。
倍電圧と言われる利得上昇効果は殆ど見当たりません。


同じく、倍電圧ゲルマラジオを過渡解析したものです。復調はされていますが、利得上昇は殆どありません。


この回路は、私が考案した倍電圧ゲルマラジオです。この検波方式では、約2倍の検波出力が得られました。人間の耳は対数特性で音の大きさを感じるようなので、電圧2倍では大した利得では無いと思っています。AGC電圧生成回路用には応用可能と考えられます。


全波ブリッジ整流型に似た回路で検波回路を構成しました。利得はありません。検波はされています。この全波整流のようなダイオード4本使うメリットはありません。

私の研究結果では、整流とダイオード検波は動作原理に基礎的違いがあります。それはダイオードにはミキサーまたは乗算器としての物性があり、検波では、この乗算器特性が大変重要な理解のポイントになると考えています。この私の考え方は、従来の交流の整流理論と根本的に異なるもので、数学的証明を、現在検討している段階です。)


NHKで2011-2012年頃、再放送された。バケツラジオ(1975)の再現を試みました。
ダイオード方向に誤りがありましたので修正しまたが、スピーカを鳴らせるだけの検波出力は得られていません。出力波形も大きく歪んでいます。


このNHK バケツラジオが聞こえない原因:

①ダイオード接続を誤っています。(これはケアレスミスと思われます。)

ダイオード4本を使い全波整流をすれば検波電圧が上昇するという設計思想が見られます。これは交流整流には適用できますが、検波動作には適用できない設計思想です。

理由は、交流の整流では交流電圧源が単一の交流周波数電源ですが、AM送信機では、キャリア、上側波帯(USB)、下側波帯の、複数電圧源が直列接続されたような構成になるためで、単一周波数交流を前提条件とする整流方式をそのままでは適用できません。AM送信機は複数の周波数の重ねあわせ多重交流電波電源が構成されます。

同調トランスの構造に問題があります。一次コイルから二次(同調)コイルへ電圧昇圧で一旦上がった利得が、三次コイルで減圧されて、感度が大変悪くなります。

出力回路のトランス一次コイル側でLCR共振回路が構成され、これが受信周波数の電波電圧をほどんどブロックし、殆ど何も聞こえないほど大きな利得減衰を引き起こします。



NHKオリジナル回路での検波出力です。極めて出力が微弱で、検波が正常に行なえていません。


ダイオードの向きをリング変調型にしました。
改善はしますが、歪みが非常に大きい状態です。


従来のダイオード一本式に変更。検波は歪はありますが、かなり正常です。



ダイオード1本検波出力をスピーカ駆動する試み。スピーカーから弱い音が聞こえる可能性が十分あります。実験するのはこの回路が最も有望です。


リング変調型の検波構成の試みです。歪が大きく、うまく聞こえないと思われます。



スピーカ駆動をやめて、クリスタルイヤホンを使えば、リング変調型検波で、ラジオは聞こえそうです。しかし、ダイオードを4本使うことによる利得向上は期待できません


リング変調型検波+スピーカ駆動回路のAC解析結果です。


スピーカ駆動せずイヤホンで聞くもの。歪が多く音質が悪化しています。


AC特性解析結果です。同調はしていますが、混信には弱い特性です。


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