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2016年7月2日土曜日

IQ直交変調器を用いたウェーバー法によるPSN方式 SSB変調器/送信機の原理


IQ直交変調器を用いたウェーバー法によるPSN方式 SSB変調器/送信機の原理

 概要

従来方式の課題:

PSN方式によるSSB変調方式の課題として次のものがあった。

(1)ベースバンド低周波信号の-90度位相シフト器が、ベースバンド帯域内で利得が一定にならない。

例:

Poly Phase Filterと呼ばれるRC構成による 300Hz - 3KHz 周波数帯域に設計された位相シフト器は、帯域内で利得が変化し、特に低音領域の利得が高く、高い音域で利得が低下するため、太い声で耳障りとなり、高い音が弱くなり、聞き取りにくい音声になる。

(2)同Poly Phase Filterは、設計帯域を外れた周波数帯域 20Hz - 300Hz の低い音の位相ずれが-90度を維持できず、低音域がおかしな音になる。

こうした課題を解決する方式として、Poly Phase Filterを使用しないウェーバー法(Weaver Method)が知られていたが、その動作原理説明は、実回路開示や、難解なタイミング図と難しい長い文章による解説で、方式を正確に理解することが著しく困難だった。

(3)ウェーバ法による方式上の課題(問題点)が開示されていなかった。

(4)方式が不明または曖昧な理解であるため、SDRの設計ができない。

ここでは、以上の課題を反省し、これまでの課題を克服するため、計算式によりウェーバー法を導出して求め、やさしく、かつ正確に同方式を定義し、SDR設計に直接使用できる設計内容を明らかにする。

2. 構成

図1. による。



図1

3. 方式の計算式導出と説明

説明は次の文書による。

”The principle of SSB modulator / transmitter of “Weaver PSN method 
by using “IQ feeder” and “IQ modulator”  (Weaver’s PSN method)
http://ji1nzl-official.blogspot.jp/2016/07/the-principle-of-ssb-modulator.html


4. 課題

項番号 3.により、ウェーバー方式には設計上、次の課題の存在が明らかになった。

(1) 現在SDRに多用されているIQ直交変調器が、ウェーバー方式にもそのまま使用できる。
ウェーバー方式では、IQ変調器に、90度位相差があるSSBの2信号I,Q信号を与えるだけで、SSB(USB/LSB)の変調・復調器が実現できる。

(2) ウェーバ方式で利用されるLPF(Low Pass Filter)は、LSB,USBの不要成分を除去するため、良好なフィルタのキレ具合と、帯域内一定の群遅延特性を持つ必要がある。

これは、FIR,IIRフィルタの信号処理で実現できる。

(3) 上記LPFは、アナログ回路では、良好な特性を得る回路実現に難易度が伴う可能性がある。

(4) ウェーバー方式は、音声などのベースバンド信号を一旦、40KHz程度の中間周波数帯に引き上げるため、この局部は発振器周波数だけ、第二局発の発振周波数に対し、キャリア周波数がIF周波数分だけシフトする。

受信機側では、SSB復調時に、キャリアが無いため、そのシフト分は気づくことは無いが、送信機の周波数表示処理は、このシフト周波数をずらして表示する加算または減算処理が必要となる。

(5)上記LPFは、HPFで交代するように方式変更も可能である。ただし、キャリアシフト量は変化する。

付録:
A. SSB/CW SDRトランシーバの実現例

       G11 Gunu Radio based SDR Transceiver
                               Designed by Goran in Eu. (Respective copyright reserved) 
               

(C) Noboru, Ji1NZL, Jun.29, 2016

Rev.0.0 July 2, 2016 初版文書作成 Noboru Noboru .AE35.macbook

2015年12月23日水曜日

FM・PM変調波(電圧)信号をグラフとFM・PM変調とFM・PM復調原理の見える化

1. FM変調用オリジナル信号波 


 1KHz, 2Vp-pの低周波信号をFM送信機に入力することを仮定

                                           Vorg=m*sin(2*π*f*t)), m=1, f=1[KHz]


2. キャリア周波数に加えるFM変調波信号 m=1,2, ...,50 

Vmod=cos(m*sin(2*π*f*t)), m=1, f=1[KHz]


Vmod=cos(m*sin(2*π*f*t)), m=2, f=1[KHz]



Vmod=cos(m*sin(2*π*f*t)), m=3, f=1[KHz]



Vmod=cos(m*sin(2*π*f*t)), m=4, f=1[KHz]



Vmod=cos(m*sin(2*π*f*t)), m=5, f=1[KHz]


Vmod=cos(m*sin(2*π*f*t)), m=10, f=1[KHz]


Vmod=cos(m*sin(2*π*f*t)), m=20, f=1[KHz]


Vmod=cos(m*sin(2*π*f*t)), m=40, f=1[KHz]


Vmod=cos(m*sin(2*π*f*t)), m=50, f=1[KHz]




3. FM変調波

 FM受信機 IF=10.7[MHz]で受信を仮定


FM変調波(キャリア周波数fc=10.7[MHz],  変調信号 m=10, 1[KHz])

Vfm=cos(2*π*fc*t + m*sin(2*π*f*t)), m=10, fc=10.7[MHz], f=1[KHz]
式Vm は、位相変調に見え、周波数が変化していない。再検討必要。(2016/7/20)
 
=> これは位相/PM変調です。(2020/12/11) ただし、周波数も変化しています。入力するベースバンド信号の振幅電圧が大きいほど、電圧波の周期が短くなり、周波数が上がっています。


4. FM検波回路の説明例

 4.1 日本でのFMレシオ検波動作原理の説明例

FM検波回路には幾つか方式があるが、日本ではレシオ検波回路が多く紹介されてきた。

(C) Kyocera Inc. 

上図は、レシオ検波の動作を言葉で説明しているが、時間的に変化するFM変調電波の周波数変化の成分が、いかにして、振幅電圧と周波数を、検波回路で取り出しているかの説明が無いため、それらが理解できない内容で書かれている。
殆ど同じ説明が、これまでの日本の書籍にも繰り返し、繰り返し、何度も書かれている。

現在の電子回路設計専門雑誌 トランジスタ技術 2016年 1月号も、FM検波動作の説明が同様に失敗している。

現在のところ日本の書籍やネット情報で、FM検波の原理を理解しようとしても極めて難しい状態にある。

4.2 米国USAF 1964年によるFM検波の原理説明



(C) USAF, 1964 Principle of FM demodulation

歴史を遡ること52年前、米国 USAF の教育ビデオ(Copyright by USAF, 1964)を見ると、FM検波形式に依存せずに、FM変調波から、変調信号の振幅成分と、周波数成分が、どのように抽出されているか、時間経過を伴う動画で、非常に分かりやすい説明がされていることが分かった。
(資料[3]参照)
僕の知るところと、調べた限りにおいて、この説明が一番分かりやすく優れている。

FM復調原理のポイントは次の2点である。

(1)FM電波キャリア中心周波数からどれだけ周波数が離れるかの周波数差分(Deviation)が、 (ベースバンド)変調波の振幅電圧になる。

(2)FM変調波の周波数変化速度(単位=周波数Hz)が、(ベースバンド)変調波の周波数成分になる。


これは僕が、自力で考えたFM変調検波原理を、見える化した図です。
直線的V-F特性を持つデバイスで、FM検波が可能なことを表現しました。

また、上図のFM復調原理図で、復調された信号方向からFM変調電波に矢線方向を逆に見ると、V-F変換器を使うことでFM変調器となるFM変調原理も、直ちに導かれます。


参考情報・資料

[1]MIT Opencourseware, 6.003 Fall 2011, Signals and Systems, Modulation 2,
     Prof. Dennis Freeman 

[2] Radio Electronics: Frequency Modulation Basic Principles pt1-2 1964 US Army Training Film



[3] Radio Electronics: Frequency Modulation Basic Principles pt2-2 1964 US Army Training Film


Very good explanation of FM.  Easy to understand FM principles(Recommended)

[4] FM Radio Electronics: Frequency Modulation: Basic Principles 1964 US Army Training Film


[5] 周波数変調(FM)


[6] アナログ周波数変調・復調について

[7] 直交変調を用いたFM変調器

[8] おじさん工房ーFM 復調器


[9]新原さんによるパルス・カウント方式によるFM復調方式説明資料

(C) 新原さん

[10]How To Build an FM Receiver with the USRP in Less Than 10 Minutes
https://www.youtube.com/watch?v=KWeY2yqwVA0

[11]USRP Instant SDR Kit: Great Price, Performance and "Ease-of-Use"
https://www.youtube.com/watch?v=FIBL6XoqFlM

[12]Assembling your USRP Instant SDR Kit
https://www.youtube.com/watch?v=6yh0nwQ4ebo




関連記事:

FMレシオ検波式ダイオードラジオの実験


       PM変調波電圧のグラフ(動画)

これは位相/PM変調です。(2020/12/11) ただし、周波数も変化しています。入力するベースバンド信号の振幅電圧が大きいほど、電圧波の周期が短くなり、周波数が上がっています。

改訂:
2016/3/5,6
・FMレシオ検波の日本国内説明資料追記
・USAFの説明動画からの画面ショットとFM検波図と説明の追記
・新原さんによるパルスカウント方式FM復調原理説明の追記
・USRPを使ったFMラジオ(SDR, Software Defined Radio)を10分でソフトウェア定義する方法追記
2016/3/9
・僕が考案したFM検波原理図を追記
2016/4/2
・僕が考案したFM変調原理説明文を追記
2016/6/16
・自作したFM復調原理.gif動画アニメ追記
2016/7/20
・式 Vm は、位相変調に見え、周波数が変化していない。
・同式の講座[1]内容を再検証のこと。
・文献[7] 直交変調を用いたFM変調器 の式と図の加算、乗算に不一致あり。
僕の計算ではこの直交変調器ではFM変調電波の式が導けない。

2020/12/11
・自作したPM変調電圧波のグラフ追記

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2015年12月13日日曜日

テルミンの再現実験

テルミンと呼ばれる電子楽器があり、学研社の大人の科学で紹介されたことがあります。
今回、トランジスタ技術誌にもテルミン回路が紹介されていました。

テルミンの回路図を見たところ、その原理は、2波の異なる高周波発振器の出力電圧を加算してAM変調となった変調された電圧を、ダイオード検波して周波数変換動作を起こさせ、周波数差分を耳に聞こえる低周波成分にしてアンプで増幅するものになっています。

ここでは、ダイオード検波付の周波数変換動作の確認と、ダイオード無しのサイン電圧波の加算演算による周波数変換動作が起こるのかどうかを確認しました。

1. ダイオード検波回路を使ったテルミン動作


800k[Hz]と801k[Hz]の2つのサイン波を、2つの47kΩで加算後、ダイオードによるAM検波回路を通過させ、トランジスタで増幅しました。
ダイオード検波回路で周波数変換が起こり、周波数差分の1K[Hz]が効率良く取り出されています。

2. ダイオード無しの加算のみのテルミン動作


期待した通り、加算だけでの周波数変換成分1k[Hz]はほとんど発生せず、テルミンの音1k[Hz]は殆ど出力されていません。

ダイオードが周波数変換動作を行う特性は従来より知られています。
一方、現在でも異なる周波数のサイン波の加算で周波数変換動作が起こる(日本の専門誌ではヘテロダイン現象と書かれてきました。)、という一種の迷信が続いていることは、その専門誌でも加算という説明があることから、あまり良く知られていない電気現象なのかもしれません。

ラジオのミキサー回路ではアナログ加算ではなく、アナログ乗算演算が行われるため、周波数変換動作が起こっています。

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2015年7月11日土曜日

AM変調の原理実験


このAM変調送信機は、LTspiceに用意されたAM/FM送信器定義部品を使って、1MHz キャリアに、1KHzの変調波(最大振幅40[mV])を与えて過渡解析結果と、FFTによる周波数成分を見たものです。変調度は100%です。このAM送信機は、DC電圧 40[mV]をオフセットとして、変調サイン電圧波を底上げした電圧と、キャリアのサイン波1MHzを乗算器で乗算する、いわゆるAM低電力変調と呼ばれる方式であることがわかります。

出力されたAM変調波の周波数成分は、中央が1MHzのキャリア、左側が1KHz下の変調波、右に同様に、1KHz上の変調波が見えています。変調度100%でも殆ど理想的な歪の少ないAM変調波が出力されています。

いにしえからの言い伝えによると、AM変調は簡単にその送信機を製作できるとあります。
その言い伝えがいつ始まったのかはわかりませんが、実際にラジオ専門誌、雑誌の回路設計を使うと、変調がうまくかからないことが殆どです。おそらくこの迷信化した言い伝えは今でも信じられています。

書籍として記事にいったん書かれ、それが繰り返されると、私達は知らない間に騙されていても、それに気づかないものなのです。結論から言うと、それらの製作記事は設計ミスのために、変調がうまくかかりません。プロのラジオAM局が綺麗に変調がかかっていますが、市販の通信機では、有名なナショナル社RJX-601すらも1W出力ではプラス変調がかかっていましたが、3W出力に切り替えると、通称 ”マイナス変調”と呼ばれる現象が発生していました。

これも設計ミスによるものであることは、未だに殆ど知られていないと思われます。
マイナス変調とは、AM送信機のマイクから音声を入力し変調をかけると、送信出力が現象方向に送信電圧が下がる現象です。他、製作すると期待しない異常動作を経験しました。



この回路は比較的近年にインターネットに公開された、終段コレクタ変調方式の一つです。これはうまく動作していることがわかります。オーディオアンプとして多用されているLM386の出力電圧を、終段トランジスタのコレクタへ接続し、直線増幅動作するようにバイアス動作点を設定し、変調用トランスを用いていない新規性が特徴で、優れた設計です。



この回路は、トランジスタによる1MHzのサイン波発振回路に、抵抗1本だけの自己バイアス方式で、トランジスタ高周波増幅器を接続し、同増幅器に変調トランスを介して、終段コレクタ変調方式で、AM変調をかけています。
結果は、図の通り、変調信号を十畳された変化する電源電圧が加わった終段トランジスタは、出力される高周波電圧にAM変調の振幅とは異なる位相の変調振幅波形が出力されています。



このケースは、終段トランジスタの出力する変調波が、上下で90度位相がずれて、上下対称にならない変調の位相ずれの問題が起きています。


この例では、バイアス無しの2段の高周波アンプを構成し、それぞれに、変調トランスを介して振幅する電源電圧を与えています。出力された変調波は、非常に変調度の低い信号電圧が現れています。バイアス無しなので上記の高周波アンプはC級アンプです。
この回路構成は、日本で数多く出版されたラジオ専門誌に掲載されてきたものです。

この回路方式を実験すると、実際に非常に変調の浅い音が、AMラジオから聞こえます。
この回路構成は、現在でもインターネットに多く掲載されています。


この回路は、2段の高周波アンプに抵抗二本で電源電圧を分圧したバイアス電圧を与え、トランジスタの直線増幅動作特性を改善させたものです。
上のバイアス無しの高周波アンプと異なり、かなり深いAM変調がかかるように特性が改善されています。


この回路は、変調をより深くかけて見た例です。


非常に長い間、現在でも、C級増幅アンプによるAM変調回路が発表されてきていますが、その従来方式では浅いAM変調またはマイナス変調という現象が発生します。

私の検証作業においては、簡単にAM変調ができるという従来の書籍説明は、シミュレーションでも、実機実験でも再現したことは一度もありません。

付録:
BJT TR 2N2222 を使った「終段コレクター変調式AM送信機」のシミュレーション計算実験例

AMコレクタ変調 例1

・・・コレクタに加える低周波電圧が低いレベルでは、電波の変調歪みは小さい。


                                                                      AMコレクタ変調 例2

・・・コレクタに加える低周波電圧が高いレベルになると、電波の変調歪みは大きくなる。


                                                                 AMコレクタ変調 例3

・・・コレクタに加える低周波電圧が低いレベルでは、電波の変調歪みは小さいが、
コレクタに加える低周波電圧が高いレベルになると、電波の変調歪みは大きくなる。

以上のように、LTspiceによるシミュレーション計算では、実回路と同様に、AMコレクタ変調方式は、歪変調みが発生し、良い音質のAM変調がかけにくい現象が再現する。

この特性・現象の原因は、BJTトランジスタのアナログ乗算器としての電気的特性が、真空管の プレート変調方式やハイジング変調方式より、大きく劣るためと考えます。