2015年12月27日日曜日

ULTRA7 食塩水星人の侵略 (SF: Science Fiction)

食塩水の電気分解実験 (中学校二年生理科)


食塩水星人は激怒していた。
”来週は食塩水の電気分解の実験をやるから準備しておけ!  炭素棒は電池の中に入っているから、電池の中から炭素棒を全班分だけ取り出して来なさい。”
食塩水星人の命令により、僕らは、僕の家の庭に集合。単一電池を12本用意し、それをペンチとニッパと金切りハサミで切断し、電池内部から炭素棒を取り出した。炭素棒はとりだしたが、炭素棒にはんだがつかず、銅線(リード線)がつながらない。
施行錯誤の挙句、僕は、2つの方法を見つけた。


➀ 電池のプラス電極側には金属端子が炭素棒をキャップするようについている。このキャップをしている金属電極部は、ヤスリで削って、銅を露出させると、その露出した銅部分にハンダがつくので、このようにして炭素棒を、食塩水の電気分解に使えるものに仕立てることができる。


➁ 既に炭素棒のキャップを外してしまった炭素棒は、端を少し割って、ざらざらとした面をつくり、そこに大量の溶かしたハンダを密着加工することで、電極をかろうじてついた状態にする。(ただし、少し電線をひっぱれば、ボロっとはんだは炭素棒から剥がれてしまうので扱いは慎重を要した。)


こうして僕達は、炭素棒を6班分、12本製造した。
ところがどういうわけか、その数日後、理科準備室に、食塩水の電気分解装置が隠すようにしてあったことが発覚した。こんな装置を隠しておいて、僕らに炭素棒を用意させるとは、食塩水星人はいったい何を考えていたのだろう。しかし僕らは怒ったりはしなかった。しかし、苦労して製造した12本の炭素棒はその出番を失ってしまった。


それは大変な損害だった。一ヶ月後、それら炭素棒電極の製造に使った父の多くの工具は、電池の電解液で腐食しボロボロになり全て使えなくなっていた。しかし父が怒ることはなかった。
そもそも電池の中の電解液が金属を強く腐食するという化学的性質を僕らは知らなかったので、結果的に父の多くの工具を、殆ど使えない状態にしてしまったのだ。


もし、僕が理科の先生だったら、電池の電解液が金属を腐食させる性質は当然知っていたろうし、まして、電気分解の実験装置を生徒の見えない場所に隠してしまう、などというような陰謀を企むことはしなかったろう。

最初の理科の中間試験が返されると僕は愕然とした。70点しかとれていない。今まで間違いの無い答案を続けてきた僕にはショックだった。そのうち誰が気づいたのか採点ミスがあるらしいということで、僕も回答をチェックすると、たくさんの採点ミスがあり、採点ミスを取り除くとなんとか90点までは回復できた。僕らはみんなで職員室に行って、採点ミスを直してもらえるように食塩水星人にお願いし、なんとか許容範囲の試験結果に改善された。とても嫌な気持ちを味わったことを覚えている。”点数を上げろと言うなら、いくらでも上げてやるよ。”と言われた。(豆電球星人は採点ミスを認めたのではなく、試験の点数を上げてやった、と主張された。)しかし、たくさんの生徒が試験の答案を持って職員室に行く、こんなことがあるとは何か企んでいたのではないか、という疑念を後から持たれても不思議ではないと思える。


※ご注意:
上記の話はサイエンス・フィクションのパロディー話です。
食塩水星人という宇宙人はウルトラ・セブンに登場しません。



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