ラジオの電波電圧を高い利得で増幅すると、例えばOPアンプの±12V電源では、-12〜+12[V]と広いダイナミックレンジの高周波電圧増幅ができる。
こうした大振幅の高周波電圧を、従来式ダイオード検波回路に入力すると、低周波出力に大きな高調波電圧が現れ、音質が劣化する。
2. 解決方法:
BJTトランジスタのコレクタ電流を直線的に増加させる不飽和領域の電圧レンジを、できるだけ大きな定電流ベース電流を流すと、AM検波と増幅がリニア増幅できダイナミックレンジが大きく改善される。
その結果、歪みが大きく減少し、AMラジオの音質が大変良好になることが期待できる。
図1. に、僕の独自設計による「ベース定電流制御式BJT検波回路(仮称)」を示す。
図1 ベース定電流制御式BJT AM検波方式
3.効果
図2に「ベース定電流制御式BJT AM検波回路」の実現例と、図3に「従来式ダイオード検波方式」によるAM検波回路の実現例を示し、両者の性能を比較する。
図2 ベース定電流制御式BJT AM検波回路の実現例
図3 従来式ダイオード検波方式によるAM検波回路の実現例
このように、「ベース定電流制御式BJT検波回路」は、小信号から大信号の高周波AM電圧を広いダイナミックレンジで歪みなを少なくして(良質な音質で)復調できる。
これに対し「従来式ダイオード検波方式」は、ダイオード電流の指数関数特性に由来し、高調波歪みが増大し、音質が劣化する。
4. 多重周波数 和音の受信計算実験
ベースバンド信号にド・ミ・ソの和音を入力し、455[KHz]キャリアにAM変調をかけた信号を、「ベース定電流制御式BJT検波回路」で受信する計算結果を図4.1,図4.2に示す。
図4.1 和音 ド・ミ・ソの受信例
図4.2 和音 ド・ミ・ソの受信例(FFT周波数軸拡大)
このように、多重の周波数と振幅成分を持つ和音のベースバンド信号が、良好に受信できる。
5. 応用例
AM変調信号を綺麗な音質で聞けることを目指したOPアンプによる中波AMラジオの回路例を図5.1, 図5.2 に示す。
高感度、高音質の実現が期待できる。
混信を除去するには、9[KHz]帯域で、群遅延特性の位相変化が少ないフィルタを使ったIF増幅回路の実現が考えられる。
図5.1 OPアンプ(+20dB利得)ラジオへの応用
図5.2 OPアンプ(+40dB利得)ラジオへの応用 |
6. 対称型ベース定電流制御式BJT検波回路の性能見積もり
残念ながら、PNP型 TRが、大振幅入力で歪みを起こすので、期待する効果は得られなかったが、TR性能が対称に改善されれば、扱えるダイナミックレンジが2倍になる。
図6 対称型 ベース定電流制御式BJT検波回路
(Copyright) Noboru, Ji1NZL, Jan.2017
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