2017年2月4日土曜日

リング構成ダイオード検波方式による低歪み化効果

ダイオード検波回路を、リング変調器/復調器のように巡回するようなリング構成にすると、低雑音効果が現れる可能性があることを、かつてのこのブログ記事1SS106ダイオードモデルで書きました。

同じリング構成のダイオード検波回路を、BAT54 ショットキー・ダイオードで構成すると、3次,5次,7次・・・と奇数次の高調波成分の歪が減衰する可能性があることがわかりました。
これはspiceのルンゲクッタ法(?:要確認)による 微小刻みの計算でできるもので、ショックレーさんの理想ダイオードの計算式をリング構成で、このリング構成の回路方程式を解くのは難しいと思います。

特に高周波モデルのダイオード過渡特性計算は、
同理想ダイオードの式  i(t)=Is*{exp(v(t)/Vt)-1}
で解くのは無理で、spiceの等価回路パラメータが多く、数式としての解を求めるのは極めて難しそうです。

図1. リング構成ダイオード検波方式による低歪化効果

図1.に示すように、リング構成ダイオード検波回路では、FFT解析から、奇数次の高調波成分が大変少なくなる計算結果を得ました。
この検波方式で、AMラジオの音質が改善される可能性があります。


図2. 従来のダイオード検波方式の過渡解析とFFT解析結果

図1, 図2. を比較すると、従来式ダイオード検波よりも、リング構成式ダイオード検波のほうが奇数次の歪みが減少しています。


図3. リング構成ダイオード検波回路のAC特性解析結果

図3.に示す通り、リング構成ダイオード検波でも、高周波での利得が大きく、また低周波での利得が大きいショットキーダイオードのRF/AC特性が見られます。

高周波領域でのキャリア周波数電圧成分と変調波電圧成分の周波数変換動作が起こり、低周波利得が大きいために、周波数変換された低周波のベースバンド信号が聞こえやすくなっていると考えられます。

前にも書いたように、来の考え方によるDC領域での電流立ち上がり電圧0.1V程度と低いからゲルマニウム・ダイオードの感度が良いという説は、最新のダイオードの高周波モデルにより再考する必要があると思います。

関連記事の異なる周波数の複数放送局の同時検波特性の説明も、従来の検波理論では説明できませんが、高周波特性としてのダイオードの周波数変換特性で説明できると考えます。


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