2017年2月13日月曜日

小信号・高周波/RF JFETアンプの設計法を探る(2SK241,2SK192対応) 暫定版

JFET 2SK241 または、2SK192の小信号高周波アンプの設計法を確立する。

N-MOS FETの設計法がJFETに通用しないことが判明したため、JFETを使った高周波小信号用JFETアンプの設計方法をオリジナルの手法で確立することを目指す。

1. DC特性の確認

電源電圧 Vcc を決定後、JFETのゲート電圧 Vgs : ドレイン電圧 Vds
の関係を求める。

負荷抵抗 RL をパラメータ指定して、それぞれの負荷抵抗での、
Vds : Vgs
Ids : Vgs
のグラフを求める。
図1. DC特性の確認

図1.から読み取れるJFETのDC特性

(1)JFETはある一定のゲート電圧をスレッショルド電圧 Vth として、ドレイン電流 Ids が流れ始め、ゲート電圧 Vgs が増えるほど Ids が増え、やがて飽和電流に達する。

(2)図1.のVds:Vgs曲線の傾きΔVds/ΔVgsが、JFETの電圧利得を意味する。

(3)負荷抵抗 RL が大きいほど、電圧利得は大きくなる。また入力可能なゲート電圧範囲は狭くなる。
 逆に、負荷抵抗が小さいほど、電圧利得は小さくなるが、入力可能なゲート電圧範囲は広くなる。

(4)小信号入力で高い利得を得るには、電圧カーブの変化率が大きいRLを選択すれば良い。
(例:緑線)

(5)大信号入力で低い利得で広いダイナミックレンジを得る場合は、電圧カーブの変化率が小さいRLを選択すれば良い。(例:赤線)

2. 選択した負荷抵抗 RL に関して Vds:Vgs のグラフを書く。

図2. Vds:Vgs DC特性

図2. のグラフの傾斜の中心点近く、Vgs=0.0[V]をバイアス電圧とする。

多くの応用回路で、2SK192,2SK241は、ゲート抵抗 1MΩとして、Vgs=0.0[V]をバイアス電圧にしていることが多いが、-1.8[V]〜0.0[V]のマイナスのバイアスで利得が得られるのがJFETの大きな特徴。
NチャネルMOS-FETでは、このDC scan カーブがプラス電圧範囲に現れる。


3. 周波数:利得 特性の確認

以上のDC特性が、AC,RFでも通用する保証は全く無いので、さらに高周波特性を見る。

使えそうなRL=200[Ohm], 300[Ohm]について、目的周波数 0.5[MHz]〜2[MHz]の利得を確認する。

図3.1 RL=200, Vcc=3V, Vth=0V での周波数:利得



図3.1 から、指定条件では利得=0と判断する。これでは電圧増幅は起こらないと判別する。

図3.1〜図3.3に示すAC利得は、入力信号電圧V1のバイアス電圧設定で大きく変化する。

このゲ−ト電圧のバイアス値が適切範囲(図1,図2.のカーブ内、スレッショルド電圧 Vth以上)に無いと、アンプは全く増幅せず、減衰動作になるので十分に注意要。


図3.2 RL=300, Vcc=3V, Vth=0V での周波数:利得
図3.2 RL=300, Vcc=3V, Vth=0V での周波数:利得 グラフから、2.3dB 電圧利得がとれると見込む。


図3.3 RL=可変, Vcc=12V, Vth=0V での周波数:利得


図3.3 RL=を可変し, Vcc=3V, Vth=0V での周波数:利得、周波数:電流 Ids、消費電力のグラフを書く。
図3.3は、Vds=12Vになっているが、利用するVcc電圧で、同じグラフを書く。

各負荷抵抗 RLでとれそうな利得の傾向を見る。
マイナスになる利得の線は増幅がおこらないので、目標とする利得を得られる負荷 RLの値を見つける

この利得特性グラフを書くには、V1に適当な、Vth以上のバイアス電圧を与えることが大変重要


消費電力が大きくなりすぎないように注意する。




図4.1  2SK241GR Vds : Vgs DC特性

図4.2 2SK241GR 利得:周波数特性



概ね17dB程度の利得がとれると見積もる。


5. 過渡解析

図5.1  2SK241GR 過渡解析 1

Vgs= -0.68[V] RL=1K[Ohm], Vcc=9[V]で、増幅が正常に起こっていると判断する。
Vgsがマイナス電圧 -0.68[V]で電流Idsが立ち上がる。
 
N-MOS FETと異なり、2SK241は、マイナス電圧 -0.68[V]がスレッショルド電圧である点に注意する。
N-MOS FETでは、通常プラス電圧がスレッショルド電圧として、二次曲線のVds-Vgs関数で近似できる


図5.2  2SK241GR 過渡解析 2


6. 応用回路にて過渡解析。(図6.1)

マイナス電源を使わないと仮定し、Vth=0V で妥協する。

図6.1  2SK192 AMラジオ用 RF増幅回路での過渡解析+FFT解析


図6.2  他の候補FET AMラジオ用 RF増幅回路での過渡解析+FFT解析

他に使えそうな小信号用FETと性能を比較し、より性能の良い回路にする。
2SK241が生産中止のため、2SK192で交替させる。

設計終わり
(ただし最適化は十分でない)

関連文書:
N-MOS FET , JFETの特性の調べ方、選択方法 ( LTspice 対応)

ブログ記事目次へ戻る