図1.1 ダイオードのみによるリング変調回路の奇妙な動作 FFT周波数広帯域 |
FFT解析で、キャリア中心周波数近傍のスペクトルを見ると、このような半月上の波形形状でもAM波、またはDSB波を形成していることが分かった。(図1.2)
この奇妙なAM変調波は、下側のマイナスの象限が無いが、周波数スペクトルを見ると、キャリア信号とUSB、LSBの側波帯が見られる。(図1.3)
このように周波数軸を狭帯域で見ると、LSB信号、USB信号が見え、キャリア信号はキャンセルされ見えない。
図1.2 ダイオードのみによるリング変調回路の奇妙な動作+FFT周波数狭帯域 |
図1.3 ダイオードのみによるリング変調回路の奇妙なAM変調波形+FFT周波数狭帯域 |
この奇妙なAM変調波は、下側のマイナスの象限が無いが、周波数スペクトルを見ると、キャリア信号とUSB、LSBの側波帯が見られる。(図1.3)
図2.1 既存の通信機用リング変調回路とDSB変調波形 過渡解析 |
従来より通信機に使用されているDSB変調器の過渡解析結果を図2.1に示す。
綺麗なDSB変調波(緑色)が見える。
この回路の後に水晶フィルタを使いLSB側またはUSB側の帯域を取り出すSSB通信機の送信回路がかつて多用されていた。
図2.2 既存の通信機用リング変調回路とDSB変調波形 AC解析
従来式リング変調式DSB変調器のAC特性は、キャリア抑圧特性が同周波数上で極大になり、キャリアがキャンセルされるため、利得はこのように大変小さくなる。(図2.2)
図2.2 既存の通信機用リング変調回路とDSB変調波のFFT広帯域特性 |
このようにリング変調回路によるDSB変調または、AM変調波には、大変広帯域のスプリアス信号が発生する。(図2.2)
このため、変調器の直後の電波の質は大変悪く、特性の良い水晶フィルタ等の狭帯域バンドパスフィルタを使ってはじめて実用になる。
図2.3 既存の通信機用リング変調回路とDSB変調波のFFT狭帯域特性 |
このように周波数軸を狭帯域で見ると、LSB信号、USB信号が見え、キャリア信号はキャンセルされ見えない。
キャリア信号を出すには、AF信号源にDC電圧を与える。するとAM変調波が発生する。
ここでDC電圧をAF信号源に与えてもリング変調器の平衡は崩れていない。
国内では、「DC電圧をAF信号源に与えると、リング変調器の平衡が崩れて、キャリア信号が漏れる」という「言い伝え」があるが、それは何かの勘違いが伝わっているもので、リング変調器の平衡は何も崩れてはいない。
リング変調器による周波数変換器は、1997年ノキア社の数値演算式変復調器の特許にも使用され、また現在の携帯電話用ミキサーにはそうした高い周波数用のダイオードDBMが並列に構成し利得減衰を少なくした部品が現役である。必ずしもclassicなものではない。
このリング変調回路は、周囲の回路との電気的結合が小さくなるので、回路全体の異常発振がおこりにくくなる優れた特性がある。
例えば、現在も使用されている従来式スーパーヘテロダイン・ラジオは回路間の結合が強く、異常発振を起こしやすい技術的課題をもった状態で製造が続いているが、ミキサー回路にこのリング変調器を使うことで、異常発振はいとも簡単に止まる。(実験で検証済)
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