2015年9月21日月曜日

トランジスタ式差動アンプ(その1)

高い増幅利得と位相が反転しない出力と、位相が180度反転した出力を同時に得られる差動アンプをテストしました。

(注意:この例はシミュレーションがうまくいっていない部分があります
                シミュレーション用回路に設計の不具合とTR modelに不具合が見られます。)

(1) 過渡解析


波形の歪の少ない出力が、位相0度、位相180度反転のペアで得られています。ここでは両者の振幅電圧に若干のバランスのずれが見られますので課題となりました。

Oct.24, 2015 追記:
ウェブ上で参考にしたLTspice入門記事の回路記事をそのまま再現しましたが、設計上、少なくとも次の問題があると考えます。

①2つのTrのベースの入力インピーダンスは同じである必要がありますが、ベースがインピーダンス0である電圧源に接続されています。これでは、入力インピーダンスのバランスが崩れてしまいます。この入力回路構成では、差動入力が正しく出来ません

➁Tr1,Tr2はエミッタに定電流を供給することで、Tr1,Tr2の差動増幅動作を行わせるのが良く知られた従来方式です。対し、参照した回路は、定電流回路が抵抗で簡略化されています。

➂ 下の(2)項で書いていますが、インターネット上に日本のトランジスタ名称で出処のわからない正しくないシミュレーション結果が出て来るTrモデルパラメータが多数出回っています。これらを鵜呑みに信用して使うと、期待する結果が得られませんでした。日本の業界ではspice設計文化が浸透しているかどうか不明になっています。

➃日本国内で市販されている電子回路設計専門書の技術内容が古すぎて、時代遅れで使えなくなっています。現場の技術者は忙しいのでライタがいないのかもしれません。


(2)利得・位相特性


位相が0度で広帯域周波数で一定ならば理想的なのですが、この結果は良すぎます
通常は、周波数が上がってくると利得が落ちて、位相ずれも大きくなってくるので、このシミュレーション上で何か設定した条件(少なくともTRモデルは出処が不明)に問題があると思われます。

Feb.25,2017
日本では、エミッタ側で定電流電源に電流を吸い込ませる回路の紹介が多くあります。
対し、検索を英語圏にすると、エミッタ抵抗一本の回路が多数見られます。
上記回路は、エミッタ側抵抗がさらに2本で分岐し、抵抗値の誤差で利得変化が出やすい回路構成にも見えます。
アンプ利得も大きいので、TR特性誤差が出やすいかもしれず、この回路には注意が必要と思います。
この記事以外にもネット上に信頼性や再現性が確認できない入門教育情報がかなり多数ある印象を受けています。

Jun.27,2017
インターネットの教育記事に日本語の記事で「LTspice入門」と題するものがあります。
アクセス数が大変多く、検索エンジンの上位にランクされてきます。
その内容を検証した結果、深刻な設計不具合が大変多数発見され、デバイスモデルも不具合があり、設計思想全体もおそらく戦後直後の内容で、現代では全く使えない内容になっています。(要するにデタラメです。)
学習中の人は、間違った教育に騙されないように、要注意です。修正に時間を奪われます。


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